2016 Fiscal Year Annual Research Report
超高真空TEM-AFMを用いた清浄な原子スケール金属接点力学特性の解明
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15H03522
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大島 義文 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (80272699)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 原子間力顕微鏡 / ナノ接点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでに開発してきた長辺振動子の力センサーを取り付けたTEM用試料ホルダーを実際に稼働させることで、金ナノ接点の構造をTEM観察しながら、その電気伝導、および、振動子の周波数シフトやエネルギー散逸を測定する実験を行った。なお、力計測、電気伝導計測、TEM観察の同期をとるためのシステムを開発した。この力測定において、力の微分であるバネ定数に相当する値を、振動子の周波数シフト量から求めた。ただし、ここで得たバネ定数(等価バネ定数)は、接点の最もくびれた領域をふくめたナノ接点全体の値であるため、接点が塑性変形を起こすことによって得られた新たなくびれ領域のバネ定数を塑性変形の前後における等価バネ定数の変化から求めるという工夫を行った。また、この新たなくびれ領域の太さと長さをTEM像から得られることから、この領域のヤング率を得ることが出来た。このヤング率について接点の太さに対する依存性を調べたところ、細くなるにつれてヤング率が高くなる傾向があることを見出すことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、金属ナノ接点の力計測を行うことが出来た。特に、定性的であるが、金ナノ接点のヤング率が接点の太さが細くなるにつれて大きくなる傾向をもつことを見出した点は、世界的に見ても初めて測定結果であり、特筆すべきことである。
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Strategy for Future Research Activity |
力計測の定量性を上げるために、バンドパスフィルターを追加するなどによる電気信号のノイズ対策を行う。これにより、金ナノ接点のヤング率が接点の太さが細くなるにつれてどのような傾向を示すのかを明らかにする。
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Research Products
(13 results)