2016 Fiscal Year Annual Research Report
二次元原子薄膜の材料物性とデバイス特性を繋ぐオペランド顕微光電子分光
Project/Area Number |
15H03560
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吹留 博一 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10342841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末光 眞希 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (00134057)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オペランド / 二次元原子薄膜 / トランジスタ / 光電子分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】申請者が世界に先駆けて確立した動作条件下の(オペランド)顕微光電子分光を用いた二次元原子薄膜の電子状態のナノスケール直接観察により、界面による物性の変調に起因した材料物性とデバイス特性のギャップを埋めることを目的とする。この目的達成の為に下記三課題を解決する;①ゲート酸化膜の表面化学によるグラフェン・トランジスタ(G-FET)の電子状態の制御②G-FETの高周波特性を決めるアクセス領域の電子状態の制御③他の二次元原子薄膜(MoS2, WSe2等)へのオペランド顕微光電子分光の展開。以上より、二次元原子薄膜デバイスの高性能化(例: G-FETのテラヘルツ帯動作)を実現する。 【本年度の課題】申請者らのTHz帯動作の実現に向けた研究により、世界最高のG-FETの高周波特性を得たが(Proc. IEEE(2013))、実用的なゲート長(100nm)でのTHz帯動作の実現には更なる特性の改善が必要である。G-FETの高周波特性を決めるアクセス領域(図6)にあるグラフェンの電子状態をオペランド顕微光電子分光により定量的に解明することを、本項目の目的とする。ゆえに、具体的なターゲットとして、(a)グラフェンとソース/ドレイン電極金属との間の電荷移動、(b)ゲートからの漏れ電界によるキャリア・ドーピング により変調されるアクセス領域の電子状態を、ゲート電圧印加下で観察する。 【本年度の成果】(a)に関して、実際に、グラフェンから電極金属へ電子が流れ込んでいる領域が数百nmに亘って広がっていることを明らかにした。 (b)に関して、ゲートから漏れ電界がゲート電極端から100nmの領域で発生しており、その領域において、キャリア・ドーピングが起こっていることをオペランド顕微光電子分光観察することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【本年度の課題】申請者らのTHz帯動作の実現に向けた研究により、世界最高のG-FETの高周波特性を得たが(Proc. IEEE(2013))、実用的なゲート長(100nm)でのTHz帯動作の実現には更なる特性の改善が必要である。G-FETの高周波特性を決めるアクセス領域(図6)にあるグラフェンの電子状態をオペランド顕微光電子分光により定量的に解明することを、本項目の目的とする。ゆえに、具体的なターゲットとして、(a)グラフェンとソース/ドレイン電極金属との間の電荷移動、(b)ゲートからの漏れ電界によるキャリア・ドーピングにより変調されるアクセス領域の電子状態を、ゲート電圧印加下で観察する。 【本年度の成果】(a)に関して、実際に、グラフェンから電極金属へ電子が流れ込んでいる領域が数百nmに亘って広がっていることを明らかにした。(b)に関して、ゲートから漏れ電界がゲート電極端から100nmの領域で発生しており、その領域において、キャリア・ドーピングが起こっていることをオペランド顕微光電子分光観察することに成功した。以上のように、当初の計画にあった二つの課題を実際に解決することが出来た。ゆえに、本研究はおおむね順調に進展していると結論付けることが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、他の2D-FETのオペランド顕微分光を実施する。 (概要)28年度までの研究をベースにして、界面による物性の変調を受け易い2D-FETの電子状態をオペランド顕微光電子分光により観察することを本項目の目的とする。具体的には、ゲート酸化膜やソース/ドレイン電極金属との界面での電子状態の変調を観察する。この結果と電気特性評価とを比較検討することにより、2D-FETの高性能化を図る。(実験内容)試料作製:MoS2やWSe2などの単結晶から二次元原子薄膜をSiO2/Si(100)基板上へ転写する。この試料に電子ビーム・リソグラフィ等を用いて、Ni蒸着膜からなるソース/ドレインを作り込む。ここで(バック)ゲートはSi(100)基板である。オペランド顕微光電子分光:PEEM及び3D nano-ESCAを用いて、ゲート酸化膜やソース/ドレイン電極金属との界面で変調される2D-FETの電子状態をオペランド顕微光電子分光を用いて観察する。電気特性評価:2D-FETの静特性(ドレイン電流-ドレイン電圧曲線、ドレイン電流-ゲート電圧曲線)及び高周波特性を調べる。
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Research Products
(19 results)
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[Patent(Industrial Property Rights)] 積層体2016
Inventor(s)
三橋史典、舘野泰範、末光眞希、吹留博一
Industrial Property Rights Holder
国立大学法人東北大学、住友電気工業株式会社
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
特願2016-083869
Filing Date
2016-04-19
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[Patent(Industrial Property Rights)] 積層装置2016
Inventor(s)
三橋史典、舘野泰範、末光眞希、吹留博一
Industrial Property Rights Holder
国立大学法人東北大学、住友電気工業株式会社
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
特願2016-083868
Filing Date
2016-04-19