2015 Fiscal Year Annual Research Report
モノマー超薄膜の光重合とナノスケールでの力学物性の均一化
Project/Area Number |
15H03860
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中川 勝 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10293052)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 健 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (90301770)
久保 祥一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端的共通技術部門, 主任研究員 (20514863)
廣芝 伸哉 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40635190)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ナノ材料 / 高分子合成 / 超薄膜 / 表面・界面物性 / マイクロ・ナノデバイス / 表面電位 / 材料加工・処理 / 微細加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
易凝縮性ガス雰囲気下で液状光硬化性組成物をモールドで成形する光ナノインプリント法では、気泡のかみ込みを防ぐことができるので未充填の成形欠陥の発生を抑制できる。申請者は、溶解度パラメータが26.0(J cm-3)0.5であり。粘度が12,800mPa sと高いジアクリレートモノマーが、易凝縮性ガスの吸収が小さく、硬化成形樹脂の形状忠実性に優れること見出している。本年度は、この光硬化性組成物に関し、シリコン基板等の上で膜厚が任意に制御できる薄膜の作製方法の確立を行った。スピン塗布では、30nm以上の膜厚で形状が平滑な硬化膜の作製が可能であった。30nm未満では脱濡れにより薄膜の形状が崩壊することがわかり、新たにポリイミド版を用いた孔版印刷法で薄膜の作製を進めることとした。原子間力顕微鏡によりナノスケールで硬化樹脂薄膜のヤング率のマッピング測定を行った結果、2種類のヤング率の異なる高いドメインと低いドメインの存在を明らかにした。膜厚が異なっても同様のヤング率の不均一性が存在した。モノマーの反応性基消費率をPM-RASフーリエ変換赤外分光測定で調べられることを示した。本方法では、金/クロム/シリコン基板の使用が必要であるため、同基板上でも同様に硬化樹脂薄膜のヤング率のマッピング測定を行った結果、同様にヤング率の不均一性が確認された。さらに膜厚が減少するとヤング率が低下する、一方でモノマーの反応性基消費率は膜厚に依存しないという新たな知見を得た。他のモノマーで一般性を引き続き検討することとした。共振擦り測定に適する表面粗さRaが約0.2nmである平滑なシリカ表面および離型剤分子修飾表面を作製できるようになり、共振擦り測定が可能となった。フルオロアルキル基の長さが短くなるにつれ、界面粘度の増加が抑えられる傾向を確認した。モノマー含有水酸基に着目し、界面粘度との関係を今後詳細に調べることとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初は、硬化樹脂薄膜内のモノマーの反応性基消費率をガスクロマトグラフィで検討することを企画したが、再現性と定量性に問題があることがわかり、PM-RAS-FTIR法を採用し、モノマーの反応消費率を定量的に扱えるようになった。その他は計画通り進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
光ラジカル重合時のモノマーの反応性基消費率をさらに向上させることで樹脂硬化薄膜のヤング率の不均一性を抑制でき、アルゴンイオンミリング等ドライエッチング耐性の均一化を達成できると仮説を立てて引き続き研究を進める。膜厚数nmから20nmの膜厚の均一作製を実現するべく孔版印刷による樹脂の塗布、光ナノインプリント成形のプロセスの最適化を進める。共振擦り測定から、モノマー超薄膜における界面粘度を低下させ、光重合の反応率を増加させる重合促進剤を探索する。バルク物性にあたる光示差走査熱量測定と結果を再考しながら、光重合の反応率を増加させることを目指し、物質的なアプローチから硬化薄膜の弾性率の均一化との関係を明らかにする。
|
Research Products
(18 results)