2015 Fiscal Year Annual Research Report
移動速度論の観点によるヒトiPS細胞増殖、分化機構の解明と実用的生産技術への提言
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15H04173
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡野 泰則 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90204007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紀ノ岡 正博 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40234314)
金森 敏幸 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (50356797)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 数値解析 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで多分に経験に基づき行われてきた細胞培養技術をコンピューターシミュレーションに基づく移動現象論の観点から取り組むことにより、細胞あるいは細胞集団単位での機能発現、分化を時空間的に予想、制御しうる技術を構築し、標準細胞の最適かつ高速、大量培養法の実現に寄与することを目的とする。そのために、(1)拡散係数、最大反応(増殖、分化)速度といった基礎物性の決定、(2)細胞の増殖、機能発現(多分化性など)を支配する流動、拡散などの移動現象論的因子の特定を行う。 以上の目的を達成するため、従来用いていたニ次元のセルラーオートマトン(CA)コードと拡散方程式を環境流体部、細胞部共に三次元に拡張した。これにより現在考慮している細胞間相互作用だけではなく、培地の影響を組み込むことが可能となった。ニ次元解析では細胞内拡散係数は固体内拡散の値とほぼ同様の値であったが、三次元解析を行うことにより従来の多孔質内拡散と同様の拡散係数であることが分かった。これはすなわち生物反応が律速であることを意味しており、大量培養を行う際に培地内の拡散に注意を払う必要が無いことを意味している。この拡散係数を用い、実際の実験結果と比較検討することにより細胞内の反応係数やミカエレスメンテン係数を逆算することに成功した。 一方攪拌槽を用いた大量培養装置に関する解析を行うために、流体力学的解析に離散要素法を連立させ、細胞間の相互作用を考慮した流動計算手法の作成に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OpenFOAMのバグが解消されたため計算が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した計算コードを用い最適化条件を探索する。特に大量培養を意識した浮遊培養法に着目し、低せん断応力条件での培養法を提案する。
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Research Products
(4 results)