2015 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光クエンチ解消原理の天然抗体への適用による革新的免疫測定法の開発
Project/Area Number |
15H04191
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
上田 宏 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (60232758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
董 金華 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (80527838)
鄭 煕陳 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (70737981)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオテクノロジー / 蛋白質 / 免疫学 / プロテオーム / バイオセンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
1.抗体タンパク質のQ-body化に関する検討 本研究において我々は,サンプルと混ぜて蛍光強度を測定するだけで各種抗原を高感度に検出可能な蛍光免疫測定素子Q-bodyを,従来よりも簡便かつ迅速に構築する方法の開発と,こうして作製したQ-bodyの多項目同時解析への応用を目指している。その一環として,本年度は従来の蛍光標識法と異なる2種類の蛍光標識法の確立を試みた。最初に,最近報告されたRapoport試薬を用いたアミノ基転移反応を利用した,N末端ケトン化による組み換えFab断片のQ-body化を試み,これに成功した。従来のような修飾用のCys残基を持たないFab蛋白質に対し,そのN末端特異的にリンカー長の異なる2種類のTAMRA色素を導入したところ,その長さに応じて蛍光強度の抗原濃度依存性を観察できた。またこの際,N末端残基の違いを利用してH鎖選択的に色素を導入することができ,より高い応答を実現できた。続いて,抗体可変領域内部に存在する芳香族アミノ酸からなる核酸結合部位(Nucleotide binding site, NBS)に親和性を持つインドール酪酸IBAなどの複素環化合物とTAMRA色素との化合物を紫外線照射によりクロスリンクする方法により,一本鎖抗体,Fab断片,さらには天然抗体を蛍光標識することに成功し,抗原オステオカルシン依存的な蛍光応答を得た。 2. Q-bodyの細胞イメージングへの応用 26年度に成功した,膜タンパク質クローディン検出の成果を発展させ,27年度はがん細胞に過剰発現するHER2タンパク質のQ-bodyによる検出を試みた。Her2を認識する抗体Fab37をもとに,従来法によりQ-bodyを作製したところ,1 nM以下の検出限界で精製Her2タンパク質を最大4倍の蛍光強度で検出することに成功し,さらに洗浄操作なしでHER2発現細胞のみを30分以内に蛍光染色することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.抗体タンパク質のQ-body化に関する検討 N末標識法においては組み換えFab断片のQ-body化に成功したが,天然抗体の標識によるQ-body化には至っておらず,Q-body化のできた組み換え抗体と同じ配列を持つ天然抗体を用いて引き続き検討する。また光架橋法においては現在の所まだ標識率・応答性とも従来法によるQ-bodyより低い値となっており,来年度以降も引き続きプローブの構造と反応条件等について,条件検討を行う。 2. Q-bodyの細胞イメージングへの応用 予想以上に順調に推移しており,CDRにTrpの多い抗体ライブラリを作製し,そこから抗原結合抗体をファージ提示法により選択することで高性能なQ-bodyを構築できる可能性についても検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
1.抗体タンパク質のQ-body化に関する検討においては来年度以降も引き続きプローブの構造と反応条件等について,条件検討を行う。 2. Q-bodyの細胞イメージングへの応用においては,抗体ライブラリから抗原結合抗体をファージ提示法により選択することで高性能なQ-bodyを構築できる可能性の検討を開始する。さらにQ-bodyの利点が最大限に生かせる,洗浄が困難な細胞内抗原の検出系構築について検討する。 3. 診断用プロテインチップの構築 入手可能な抗体産生細胞,ならびにその産物を用いて,Q-bodyのレパートリーを広げていく。市販のマイクロビーズと別予算で購入予定のフローサイトメトリーを用いて,モデル検出系を構築する。
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Research Products
(22 results)