2016 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス可塑性関連因子Arcによる認知機能調節機構の解明
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15H04258
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥野 浩行 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (80272417)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 活動依存的遺伝子発現 / シナプス / 記憶 / 海馬 / Arc |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞において生理的なシナプス刺激によって誘導される神経特異的前初期遺伝子Arcはシナプス可塑性やシナプス恒常性に直接関わる因子であるが、その作用機構の詳細は不明である。本研究の目的はArcによるシナプス調節機構と大脳認知機能の調節メカニズムを明らかにすることである。平成28年度においては、昨年度までに開発したグルタミン酸受容体の表面発現動態の可視化法を用いて、野生型およびArc欠損神経細胞におけるグルタミン酸受容体動態を計測し、ArcによるAMPA型受容体のサブユニット特異的な制御という新しい知見を得た。また、このAMPA型受容体の動態制御とシナプス可塑性との関係を調べたところ、サブユニット特異性に加え、可塑性の極性や刺激後の経過時間など複雑な制御パラメーターが存在することが示唆された。現在、統計解析を含めて詳細な検討を行っている。さらに、このようなグルタミン酸受容体制御と認知機能の関連を調べるため、Arc欠損マウスにおける空間記憶課題の反復学習能力テストを行った。その結果、Arc欠損マウスは学習そのものの障害は認められないものの、反復フェーズにおける課題ルールの切り替えに特異的な障害があることが明らかになった。近年、ヒトのゲノム研究からArc遺伝子変異と統合失調症の関連などが示唆されている。本研究で明らかにされるArcによるシナプス機能および認知機能の制御メカニズムから精神疾患の病態の理解につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ実験計画の各項目について順調に結果が得られており、一部の結果に関しては学会発表なども行っている。今後、計画どおりに進まない項目が出てきた場合は、他の項目にエフォートを集中して研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降においては、これまでに得られたArcによるグルタミン酸受容体の表面発現や局在の変化に関するデータの定量解析を進め、統計的な評価を行う。さらに、様々な可塑性誘導刺激を加え、Arcによるグルタミン酸受容体動態制御の全容をつかむ。個体動物を用いた認知機能解析についてはArc欠損マウスをもちいた反復学習課題による評価を進める。 また、新規トランスジェニックマウスを用いた活性化神経細胞ネットワーク標識システムを用いて、海馬における記憶関連ネットワークの時間的変化の解析を推進する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Shifting transcriptional machinery is required for long-term memory maintenance and modification in Drosophila mushroom bodies.2016
Author(s)
Hirano, Y., Ihara, K., Masuda, T., Yamamoto T., Iwata, I., Takahashi, A., Awata, H., Nakamura, N., Takakura, M., Suzuki, Y., Horiuchi, J., Okuno, H., Saitoe, M.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 7
Pages: 13471
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Increased spine density in Arc-expressing neurons after contextual fear memory retrieval in the mouse hippocampus2016
Author(s)
K. Minatohara, K., Akiyoshi, M., Takahashi, Y., Bito, H., Okuno, H.
Organizer
Society for Neuroscience
Place of Presentation
San Diego, USA
Year and Date
2016-11-12 – 2016-11-16
Int'l Joint Research
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[Presentation] Critical roles of CREB-Arc signaling in fear memory formation2016
Author(s)
Kim, R., Sakai, K., Kawashima, T., Nonaka, M., Goto, M., Koyama, H., Kobari, S., Imayoshi, I., Okuno, H., Bito, H.
Organizer
第39回日本神経科学大会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(横浜)
Year and Date
2016-07-20 – 2016-07-22
Invited
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