2016 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子によるRNAポリメラーゼの構造変化と転写制御のメカニズム
Project/Area Number |
15H04344
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関根 俊一 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, チームリーダー (50321774)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RNAポリメラーゼ / 転写 / 転写因子 / X線結晶構造解析 / クライオ電子顕微鏡 / 構造機能相関 / 転写伸長 / 転写終結 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAポリメラーゼ (RNAP) による遺伝子の転写は、転写因子や新生RNAによって巧妙に制御されている。転写伸長や休止、終結におけるRNAPの構造変化および制御のメカニズムを解明するために、本年度は以下のように研究を進めた。 転写伸長因子が転写の休止・終結を抑制し、プロセッシブな転写伸長を保証する仕組みを解明するために、転写伸長因子を結合した状態のRNAポリメラーゼ (RNAP) 伸長複合体のX線結晶構造解析ないし電子顕微鏡解析を行った。NusGおよびそのホモログは、細菌から真核生物まで普遍的に保存された必須の転写伸長因子である。NusGないしRfaHを結合した状態の大腸菌RNAP伸長複合体を再構成し、電子顕微鏡解析に着手した。Spt4/5を結合した状態の酵母RNAP II伸長複合体を再構成し、X線結晶構造解析およびクライオ電子顕微鏡による構造解析を進めた。また、転写伸長を促進することが知られているファージ因子gp39を結合した状態の高度好熱菌RNAP伸長複合体を再構成し、結晶化・X線結晶構造解析に成功した。これについて、高度好熱菌RNAPの構造変化を検出できる変異体を用い、gp39が実際に伸長複合体を安定化していることを示した。 転写休止・終結のメカニズムを明らかにするために、転写休止・終結に関与する転写因子を結合した状態の転写伸長複合体やヘアピン等の二次構造を含むRNAを結合した転写伸長複合体を再構成し、電子顕微鏡解析に着手した。また、高度好熱菌RNAPに結合して転写を阻害するファージの因子gp76と高度好熱菌RNAPとの複合体のX線結晶構造解析を完了し、現在論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNAポリメラーゼの構造状態を調節し、転写を制御するタンパク質因子を含む転写複合体の構造解析を順調に進めている。いつかの複合体については、関連する機能解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ファージのタンパク質gp39やgp76を結合したRNAポリメラーゼ(RNAP)複合体については、関連した機能解析を進め、報文にまとめる。NusGホモログを結合した伸長複合体については、引き続きX線結晶構造解析ないしクライオ電子顕微鏡解析を進める。さらに、NusGホモログを結合した伸長複合体をベースに、転写・翻訳共役複合体の再構成を行う。転写休止・終結に関与する転写因子等を含むRNAP複合体についても、引き続き結晶構造解析ないし電子顕微鏡解析の手法を用いて取り組む。
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Research Products
(3 results)