2015 Fiscal Year Annual Research Report
チューブリンアイソタイプの網羅的機能解析によるマルチ-チューブリン仮説の検証
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15H04369
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉本 亜砂子 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (80281715)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 微小管 / チューブリンアイソタイプ / 線虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの生物種において、微小管を構成するα-およびβ-チューブリンには複数のアイソタイプが存在する。微小管の多彩な動態や機能を説明するために、<チューブリンアイソタイプの違いが特徴的な微小管構造を生み出し、それが微小管動態の多様性に寄与している>という『マルチ-チューブリン仮説』が約40年前に提唱されたが、今もこの仮説の正否に決着はついていない。本研究では、9種類のα-チューブリンと6種類のβ-チューブリンを持つ線虫C. elegansをモデル系として、各チューブリンアイソタイプの発現組織と発現時期、細胞内局在、機能破壊による表現型を網羅的に解析することにより、マルチ-チューブリン仮説の検証を行うことを目的とする。 H27年度はまず、初期胚で発現しているβ-チューブリンアイソタイプTBB-1, TBB-2の詳細な微小管動態解析を行った。その結果、それぞれが欠損している胚では微小管動態が異なることが明らかになった。さらに、初期胚で発現されているα-チューブリンアイソタイプTBA-1とTBA-2は従来は等価であると考えられていたが、TBB-2欠損下においてはTBA-1とTBA-2の微小管動態への寄与は異なることが示された。また、新たにβ-チューブリンアイソタイプTBB-4, MEC-7のGFPノックイン株を構築し、それぞれの発現組織解析を行った。その結果、それぞれ特定の神経細胞において、少量発現していることが示されれた。以上より、各細胞内で発現されているチューブリンアイソタイプの種類および量が、微小管動態を規定していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
β-チューブリンアイソタイプ4種、α-チューブリン2種についてすでに解析が進行中である。初期胚の解析により、α-チューブリンアイソタイプ(TBA-1, TBA-2)およびβ-チューブリンアイソタイプ(TBB-1, TBB-2)がそれぞれin vivoで微小管動態に異なる寄与をしていることが明らかになった。他のアイソタイプについても、蛍光タンパク質ノックイン株の作製を進めており、ほぼ計画通り研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに蛍光タンパク質ノックイン株が取得済みのチューブリンアイソタイプについては、それぞれの発現組織、その組織における微小管動態への寄与について、引き続き解析を進める。未解析のα-チューブリンアイソタイプ7種およびβ-チューブリンアイソタイプ2種について、蛍光タンパク質ノックイン株の作製を行う。
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Research Products
(2 results)