2015 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫嗅覚中枢の精細モデルの構築による匂い情報表現の解明
Project/Area Number |
15H04399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神崎 亮平 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40221907)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳・神経 / シミュレーション / 遺伝子 / データ同化 / 昆虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,カイコガのフェロモン情報処理を対象とし,実験生物学と数理科学を融合することで,生物が自然環境中で動的に変動する匂い情報から匂い源に定位することを可能とする情報処理機構を精細に解明することを目的とする. 本年度は,スーパーコンピューターの計算力を使い,カイコガ触角葉出力神経の性質の推定を試みた.CMA-ES(Covariance Matrix Adaptation Evolution Strategy)をマルチコンパートメントHodgkin-Huxley型モデルシミュレーションと組み合わせて導入した.イオンチャネルとしてはAHPチャネル(Ca 依存性K チャネル)を含む5 種類のイオン電流を仮定した. 仮想細胞へ電流を注入した場合に観測される電位変化に対し,様々な注入電流波形をテストして,推定に効率的な刺激波形を探索した.その結果,従来よく利用されてきたホワイトノイズやステップノイズより,我々の提唱するランプ+ sin 波は収束が良いことが明らかになった.ランプ刺激を行った実データにリスタート法を加えてフィッティングを行うと,実験データにほぼ収束した.この推定ではイオンチャネル分布は均等モデルに近く,カルシウムダイナミクスを介して5種のそれぞれのイオンチャネルが協同してスパイク発火パターンをつくっていることが確認された. 並行して,複数神経細胞からの同時計測系の確立に向けて,アセチルコリン合成酵素(ChAT)遺伝子およびGABA合成酵素(GAD)遺伝子のプロモーターを利用したGAL4ドライバー系統および,多色でのカルシウムイメージングのために既存のGCaMPリポーター系統とは異なる蛍光波長をもつ,RCaMPを発現するリポーター系統を作出した. また触角葉神経のコネクトーム解析のためにBrainbowシステムを検討し,本システムのためのDNAベクターのデザインを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は以下の3項目について研究を進める計画であった。(1)単一神経細胞モデルの構築とシミュレーションによる特性パラメータの探索、(2)複数神経細胞からの同時計測系の確立、(3)Brainbowの開発。これらの3項目について、いずれも当初の計画に沿った研究が実施され、成果が得られており、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画に沿って順調に進められている。本年度得られた成果をもとに、次年度も当初の計画に沿って推進していく予定である
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Research Products
(20 results)