2016 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム編集技術を駆使した植物トリテルペノイド生合成遺伝子の機能解析
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15H04485
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村中 俊哉 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60342862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 エリオデット 大阪大学, 工学研究科, 助教 (40724448)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 代謝工学 / ゲノム編集 / P450 / トリテルペノイド / トマト / シロイヌナズナ / カンゾウ / 酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
シロイヌナズナではCYP716AサブファリミリーCYP716A1ならびにCYP716A2の両遺伝子を破壊した植物について、今年度この二重変異体の表現型を解析したところ、通常の栽培条件では表現型には異常は見られなかった。さまざまなストレス条件化で表現型が変わることが期待される。 一方、トマトでは、6 分子種の CYP716 ファミリー酵素遺伝子が存在する。これらの6種の遺伝子について酵母を用いた機能解析を行った結果、CYP716A44, CYP716A46は、他のCYP716Aサブファミリーの多くと同様28 位の酸化活性を示したが、CYP716E26 については、これまでに報告のない6β位の水酸化活性を有していることを酵母発現系により見出した(Yasumoto et al. 2017)。さらに、CYP716A44は、根で高発現していたことから、CYP716A4を標的とする CRISPR/Cas9 発現ベクターを作成し アグロバクテリウムリゾゲネスを介した形質転換を行った。その結果、CYP716A4遺伝子が欠失した毛状根を作出することができた。この毛状根について予備的にトリテルペノイド分析を行ったところ、非形質転換毛状根で検出された28位酸化物であるベツリンならびにベツリン酸が検出されないことがわかった。すなわち、酵母を用いた機能解析の結果を、植物組織においても検証することができた。 カンゾウにおいては、これまで研究代表者等が単離したCYP72A154、ならびにYP93E3に加え、28位の酸化酵素遺伝子CYP716A179を酵母発現系により機能同定した(Tamura et al. 2017)。CYP72A154、CYP93E3については、これらの遺伝子を標的とする CRISPR/Cas9 発現ベクターを作成し アグロバクテリウムリゾゲネスを介した形質転換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでCYP716AサブファミリーのCYPの多くは、トリテルペノイドの28位水酸化ならびに酸化に関わると報告されていたが、H27年度シロイヌナズナ由来のCYP716A2が、トリテルペノイドの28位酸化のみならず22α位の水酸化に関わることを見出したことに加え、今年度は、トマトCYP716E26 が、これまでに報告のない6β位の水酸化活性を有していることを見出すことができた意義は大きい。さらに、酵母で28位酸化活性を示したトマトCYP716A44について、CYP716A44破壊毛状根を作成し、トリテルペノイド解析を行った結果、28位酸化トリテルペノイドが検出されず、in plantaでの本酵素遺伝子の機能検証をすることができた。以上、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
トマトで予備的に得られた結果について、他のCYP716ファミリー分子種についてもゲノム編集を行い、組織特異的発現との関連性の検証ならびに植物体における表現型との関連について調べる。また、カンゾウについては、トマトと比較して形質転換効率が低いが、現在、誘導した形質転換毛状根の選抜を行っており、今後ゲノム編集の確認ならびにトリテルペノイド分析を行う。またタンポポについても継続する。
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Research Products
(27 results)