2015 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンは新たな昆虫成長制御因子となるか?
Project/Area Number |
15H04611
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 幸治 九州大学, 農学研究院, 助教 (00346834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪田 拓也 国立研究開発法人農業生物資源研究所, その他部局等, 主任研究員 (00612772)
有竹 浩介 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (70390804)
東浦 彰史 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (90598129)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プロスタグランジン |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類に比べて、昆虫プロスタグランジン(PG)の生理的役割は良く分かっていない。本研究課題は、昆虫由来プロスタグランジンD合成酵素(PGDS)ならびにプロスタグランジンE合成酵素(PGES)の機能・構造解析を通して、PGの昆虫体内における役割を明らかにする。 PGESのX線結晶構造解析はすでに終了している。平成27年度は、PGDSのX線結晶構造を解析した。まず、大腸菌を用いた組換えPGDSの作製システムを構築した。電気泳動的に均一に精製されたPGDSを用いて、グルタチオンとの複合体結晶の作製に成功した。グルタチオン結合部位を明らかにすることを目的とし、この結晶を使用してSPring8(シンクロトロン放射光施設)にてX線回折データを収集した。その結果、分解能2.2オングストロームの回折強度データを得た。分子置換法により位相を決定し、全体構造を解析したところ、PGDSはホモダイマーとして存在することが分かった。そのモノマー構造は、9本のアルファヘリックスならびに4本のベータストランドより構成されていた。また、PGDS分子中のアミノ酸残基(Tyr8、 Lue14、Trp39、Lys43、Gln50、Val51、Gln63、Ser64)がグルタチオン結合に関与していることが示唆された。 PGDSの酵素速度論的解析は、放射ラベルした基質・プロスタグランジンH(PGH)を用いた。活性測定を行なったところ、PGDSはPGHよりPGDを合成することが明らかになった。一方、PGHからPGEならびにPGFの合成は認められなかった。以上のように、PGDSの活性測定システムを構築することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、PGDSならびにPGESに焦点をあてて、研究を進めている。平成27年度においては、未だ解析終了していなかったPGDSのX線結晶構造に成功した。これにより、PGDS分子中のグルタチオン結合ならびに基質結合部位などの解析・同定が可能となる。また、PGDSのアッセイ系も完成した。このアッセイ系を利用して、詳細な酵素速度論的解析を進める予定であり、特異的阻害剤探索の進展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に実施した実験により、PGDS分子中グルタチオン結合部位が明らかとなった。各アミノ酸残基へ部位特異的アミノ酸置換法を用いて変異導入し、各変異のPGDS活性に及ぼす影響を調査する。また、PGDS分子中の基質結合部位を明らかにする予定である。さらに、平成28年度はゲノム編集技術を用いて、ノックインカイコの作出を試みる。
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Research Products
(6 results)