2017 Fiscal Year Annual Research Report
地域包括ケアシステムとソーシャルキャピタルが健康に与える影響についての縦断研究
Project/Area Number |
15H04781
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小坂 健 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60300935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 克則 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (20298558)
近藤 尚己 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (20345705)
相田 潤 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (80463777)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域包括ケア / ソーシャルキャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
地域包括ケアシステムとソーシャルキャピタルが健康に与える影響について東日本大震災のあった宮城県岩沼市の2010年、2013年及び2016年度データを用いて縦断研究によって解析を行った。 災害の健康への影響は長期におよぶことから、65歳以上高齢者3,039人の震災前後の追跡調査データを分析し、震災の被害と歯の健康について研究したところ、震災被害が大きい群で歯の喪失が多いという関連が見られた。 我々は震災前に調査したデータを収集していたため、震災前の地域在住高齢者の情報と、津波による死亡原因の関連性を調べた。震災前に重度のうつ傾向だった方の死亡率は12.8%と高く、様々な要因を考慮しても住民の死亡のオッズは3.90倍で有意に高いことがわかった。 統計学的に有意ではなかったが、友人と会わない人に比べて、会う人の方が死亡のオッズ比が高い傾向がみられた。友人と会う人は有意に低い死亡リスクであった(オッズ比=0.46)。この結果から、重度のうつ傾向の人は災害時に避難が遅れるハイリスク者として認識されることが必要であることが推察された。 友人との交流などのソーシャルキャピタルは震災後の死亡リスクを減らすと考えられた。精神疾患などで目に見える障がいではない方の孤立した状態は、震災においても対策が必要であることが明らかになった。 更に、地域の介護予防プログラムの対策の中で、地域包括ケアの推進のために様々な団体などと連携をしてサロン活動を行政が実施をしているが、それに参加している者の要介護状態になりにくいことや、それによる財政への波及効果の観点からも優れていることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年ごとの、岩沼市における住民調査について、比較的高い回収率を持って実施することが出来たこと。またそれに伴い、岩沼市役所や住民への結果のフィードバックも可能であった。更にこれらのデータを用いて、いくつかの論文作成が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
データの統合及び解析を進めていくこととを進める。 特に2010年度、2013年度及び2016年度データのパネルデータ化とともに、それに伴う要介護状態についてのデータについて市町村からの入手をすることにより、認知症や要介護状態との関係を継続的にみていくことが可能となる。 また、今後の質問票についても、これまでの質問票との整合性を取りつつ、新たな質問項目についてのその妥当性について検討を実施する。 解析を進めたものについて更に論文作成を進めて、国内外に発表していく。
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Research Products
(5 results)