2016 Fiscal Year Annual Research Report
「気道上皮―免疫バリア」という観点からの喘息の病態解明
Project/Area Number |
15H04828
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中島 裕史 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00322024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉地 智宏 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (20456015)
須藤 明 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (50447306)
廣瀬 晃一 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (90400887)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 喘息 / 気道上皮細胞 / レクチン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息は人口の約5%が罹患する重要なアレルギー疾患である。気管支喘息の病態には気道上皮細胞をはじめとする組織構築細胞とリンパ球や樹状細胞など免疫細胞との相互作用が関与することが示唆され、新たな治療標的として注目を集めているが、その分子メカニズムの詳細は依然不明である。本研究者はこれまでに、喘息の主要アレルゲンであるHouse dust mite(HDM)の刺激を受けた気道上皮細胞が様々なサイトカインを産生し、免疫細胞の分化を制御すること、一方、T細胞はIL-22等のサイトカインにより気道上皮細胞の機能を制御することを明らかにした。本申請研究では、気道上皮細胞と免疫細胞の相互作用に着目し、気道上皮細胞と免疫細胞から構築されるバリア機能(気道上皮-免疫バリア)に対するアレルギー性炎症の影響を明らかにし、その制御法を開発することを目指している。平成28年度の研究では気道上皮細胞に発現が確認されたatypical IκBファミリー分子IκBNSの役割を解析し、気道上皮細胞に発現するIκBNSと血球系細胞に発現するIκBNSはアレルギー性炎症に対して逆の作用を有することを見出し、報告した(Allergy, in press)。さらにHDM誘発性気道炎症における真菌認識機構Dectin-1の働きを明らかにするため野生型マウス、及びDectin-1欠損マウスにHDM誘発性気道炎症を惹起し、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の炎症細胞浸潤を比較検討した。その結果、Dectin-1欠損マウスではBALF中への好酸球浸潤、リンパ球浸潤が有意に減少していた。Dectin-1は肺CD11b陽性樹状細胞に発現しており、Dectin-1欠損マウスでは肺CD11b陽性細胞の活性化、および所属リンパ節への遊走が低下していることを見出した(J Immunol, 2017)。本研究のさらなる推進により、喘息の難治化機構の一端が明らかになるとともに、本機構を標的とした新たな治療戦略が確立されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気道上皮細胞と免疫関連細胞の両者の視点から気道バリアの制御機構の解明を目指している。平成28年度は自然免疫細胞及び上皮細胞に関しての研究成果を報告するに至った。おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
気道上皮細胞の糖鎖修飾機構およびその喘息における役割の解明を中心に研究を推進する予定である。
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