2016 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of molecular mechanisms of endothelial dysfunction underlying CKD and aging kidney
Project/Area Number |
15H04838
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春名 克祐 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40341094)
桑原 篤憲 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50368627)
佐藤 稔 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70449891)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 内皮機能障害 / 酸化ストレス / ポドサイト / 一酸化窒素 / アルブミン尿 / in vivo imaging / 多光子レーザー顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.慢性腎臓病における防御機転としての転写因子Nrf2/Keap1の役割の解明 NF-E2-related factor 2(Nrf2)は抗酸化酵素・解毒酵素群の発現を包括的に制御し生体防御に重要な役割を果たす転写因子である。定常状態では2分子のKeap1に補足され、ユビキチン-プロテアソーム経路で分解制御されている。CKDの基盤病態であるROS/NO不均衡に対するNrf2/Keap1経路活性化の防護機転としての意義をNrf2ノックアウトマウス(KO)(東北大学山本雅之教授より供与)を用いて検証する。 Nrf2-/-にAkita糖尿病モデルを交配し糖尿病モデルを作成し、ROS/NOの不均衡、病態変化を評価する。sulfor aphane等のNrf-2活性化剤の作用を検討した。Keap1はNF-kB発現をIkB kinase(IKKβ)抑制を介して制御している 。NF-kB活性化動態も解析した。 2.酸化ストレスと微小炎症の連結機序としてのインフラマソーム活性化の役割の解明 インフラマソームはNLRP,ASC,procaspase-1等からなる細胞質内複合体であり、微生物由来成分、尿酸結晶、傷害細胞から放出されるDNA,ATP等のDanger Associated Molecular Patterns等で活性化され、caspase-1活性化を介してIL-1β、IL-18等を活性化し、炎症を惹起する。慢性腎臓病(CKD)病態形成におけるインフラマソームの関与を解析した。NLRP3,ASC-KOマウス(自治医科大学高橋将文教授より供与)に糖尿病(STZ),UUOモデルを作成し病態形成におけるインフラマソームの関与を解析した。マクロファージ内でインフラマソーム活性化を認め、CKD病態形成に重要な役割を果たすことが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、28年度に予定していた以下の実験をほぼ終了することができた。一部はすでに論文化も終了した。 1)CKD・加齢腎の末期腎不全への進展機序としてのECDの役割の解明 ①腎線維化促進機序としてのWnt-βcatenin経路の関与とNO/PKG経路のクロストークの解 eNOS遺伝子欠損マウスに一側尿管結紮(UUO)モデルを作成したところ、繊維化の増悪を認めた。NOはsoluble guanylate cyclase (sGC)を活性化しcGMPを産生しPKGを活性化する。PKGがGSK3βと同様にβ-cateninをリン酸化する。正常内皮機能はWnt-βcatenin経路を抑制的に制御しており、内皮由来NOの線維化抑制のブレーキとすることが明らかになった。 ②podocyte障害機序としてのECDの関与を解明する(内皮→podocyteクロストーク) ESRDへ至る最終経路にpodocyte injury/lossが重要であることは間違いない。一方で、CKDの主要原因疾患である糖尿病・高血圧・メタボリックシンドローム等ではECDが最早期病態として先行出現する。糸球体内皮からpodocyteへのクロストーク(内皮→podocyteクロストーク)が存在し、ECDからpodocyte injury/lossへと至る病態も存在する可能性が高い。内皮特異的NADPH oxidase(tie2-NOX2 Tg)マウスと糖尿病発症Akitaマウスを交配し、糖尿病モデルを作成した。アルブミン尿が検出される以前の超早期の糸球体透過性変化を2光子レーザー顕微鏡と蛍光色素を用いて解析した。アルブミン尿が出現する以前の早い段階において、内皮特異的に酸化ストレスを付与することで、アルブミン尿の出現が加速され、さらに糸球体上皮細胞障害惹起される(内皮ー上皮クロストーク)ことが判明した
|
Strategy for Future Research Activity |
29年度は最終年度であり、これまでの研究成果を論文としてとりまとめ発表すると同時に、当初予定しており、実施途中にある以下の課題に取り組む。 1)内皮特異的遺伝子変異動物の作出と応用:疾患腎糸球体内皮に高発現する遺伝子群の中から、特異性と発現量の視点からまずApelinとEndocan遺伝子に注目した。CKD病態形成におけるApelinの役割解明を目指す。Apelinは、オーファン受容体APJの内因性リガンドとして発見された生理活性ペプチド(36アミノ酸)である。血管内皮、脂肪細胞等から分泌され、eNOS活性化により降圧作用を有する。高血圧、CVDの病態に重要な役割をもつことを示唆されているが、CKD、加齢腎の病態における役割は不明である。tet-off システムを用いてVEカドヘリンプロモーターを用い、内皮特異的にApelinを高発現する遺伝子発現マウスを既に作出している。本マウスの加齢変化、病態モデル(糖尿病、UUO等)を作成し解析する。 2)CKDにおける認知機能障害・高次脳機能障害の発症機転を解明する 脳内微小血行動態、透過性変化、ECDの解析システムを構築する。マウス頭蓋骨を除去(硬膜保持)し、cranial windowを作成し2光子レ-ザ-顕微鏡と蛍光標識デキストランを用いることで脳皮質部微小血流を可視化できることを確認している。蛍光標識小分子プローブを用いて脳内血管透過性変化、blood brain barrier(BBB)機能変化を解析する方法を確立した。腎内血管のROS/NO変化可視化法を脳内微小血管への応用技術を完成する。アルブミン尿の存在が認知機能障害と関連することが示されている。アルブミン尿が出現するCKDモデルを作出し、脳内微小血管の血管透過性変化を評価する。腎糸球体(アルブミン尿出現部位)と脳内微小血管の透過性変化に共通する機構を解明する。
|
Research Products
(31 results)
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] The Effect of Sitagliptin on Carotid Artery Atherosclerosis in Type 2 Diabetes: The PROLOGUE Randomized Controlled Trial.2016
Author(s)
Oyama J, Murohara T, Kitakaze M, Ishizu T, Sato Y, Kitagawa K, Kamiya H, Ajioka M, Ishihara M, Dai K, Nanasato M, Sata M, Maemura K, Tomiyama H, Higashi Y, Kaku K, Yamada H, Matsuhisa M, Yamashita K, Bando YK, Kashihara N, Ueda S, Inoue T, Tanaka A, Node K; PROLOGUE Study Investigators
-
Journal Title
Plos Med
Volume: 13
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Effect of Single Pill-Based Combination Therapy of Olmesartan and Azelnidipine on Variability of Home Blood Pressure in Hypertensive Outpatients.2016
Author(s)
Satoh M, Yorimitsu D, Kuwabara A, Haruna Y, Namikoshi T, Fujimoto S, Komai N, Sasaki T, Kashihara N
Organizer
HYPERTENSION SEOUL 2016 (26th Scientific Meeting of the ISH)
Place of Presentation
Coex,Seoul,Korea
Year and Date
2016-09-24 – 2016-09-29
Int'l Joint Research
-
-
-
-
-