2016 Fiscal Year Annual Research Report
PGC1αによる骨格筋エネルギー代謝制御機構の解析
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15H04848
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 渉 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40294219)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インスリン抵抗性 / 肥満 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋特異的β2アドレナリン受容体欠損マウスの代謝表現型について解析を行った。本遺伝子欠損マウスでは、定常状態でも野生型マウスに比べて脂肪重量が増加していたが、トレッドミル連続運動負荷による脂肪組織重量の減少が抑制されることが明らかとなった。遺伝子変化の解析を含めた種々の検討から、この表現型は、運動時のエネルギー消費の抑制に起因すると考えられた。また、トレッドミル連続運動負荷後に糖負荷試験を行ったところ、野生型マウスと比べて血糖に有意な差はなかったが、インスリン値が上昇しており、これは運動によるインスリン抵抗性の改善作用が減弱していたためと考えられた。これらの表現型は、その程度も含め、PGC1α新規アイソフォームの代謝表現型に類似しており、運動時のエネルギー代謝制御におけるPGC1α新規アイソフォームの発現誘導とβ2アドレナリン受容体シグナルが密接な関係にあることが明らかとなった。また、骨格筋特異的β2アドレナリン受容体欠損マウスでは強度のトレッドミル運動負荷に対する耐容能の低下も認め、運動耐容能の点でも骨格筋のβ2アドレナリン受容体シグナルとPGC1α新規アイソフォームは、共役的な作用を持つことが明らかとなった。 また、骨格筋特異的KLF15欠損マウスを作成し、その代謝表現型を解析したが、、PGC1α新規アイソフォーム欠損マウスや骨格筋特異的β2アドレナリン受容体欠損マウスとは異なり、定常状態では肥満や脂肪重量の増加を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PGC1α新規アイソフォームの上流刺激因子としてのβ2アドレナリンシグナルの重要性を骨格筋特異的β2アドレナリン受容体欠損マウスの解析により明らかとした。これは当初の研究目的であった、PGC1α新規アイソフォームの制御機構とその生理的重要性の解析という点で、十分な成果と考えられる。よって、本研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
運動によるエネルギー消費や代謝改善効果において、骨格筋のβ2アドレナリンシグナル/PGC1α経路の生理的重要性が明らかとなったため、各種の病態モデルマウスを用いて本経路の病理学的意義の検討も進める。また、骨格筋特異的KLF15欠損マウスの代謝に関わる表現型がPGC1α新規アイソフォーム欠損マウスや骨格筋特異的β2アドレナリン受容体欠損マウスとは異なっていたことから、本モデルマウスについては、運動による代謝改善作用以外の機能について解析を進める。
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Research Products
(3 results)