2016 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラムと注意欠如・多動性障害の病態解明
Project/Area Number |
15H04889
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中村 和彦 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80263911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 伸哉 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00312158)
斉藤 まなぶ 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (40568846)
古川 智範 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60402369)
下山 修司 弘前大学, 医学研究科, 研究機関研究員 (60736370)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム / 注意欠如・多動性障害 / CNV |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、5歳児を対象としたCNV解析を行ない、自閉症患者に特徴的なCNV領域を見出した。この領域は過去に報告されていないため、日本人に特徴的なものであると考えられる。欧米人を対象とした研究では、22番染色体長腕11.2部位(22q11.2)や15q11.2-13が多く報告されているが、日本人を対象とした場合、この部位において欠失・重複は認められなかった (0%)。日本人の場合、1p21.1 (10.2%)や2p16.2 (12.6%)の欠失が見られており、この部位はタンパク質となる遺伝子を含んでおらず、またnon-coding RNAも含まないため、自閉症との関連は現段階では明らかではない。可能性としては、ゲノム領域の欠失により、クロマチン構造が大きく崩れ、その染色体や隣接する染色体上の遺伝子発現に影響を及ぼし、脳機能の障害を引き起こしているのではないかと考えられる。 弘前市内の5歳児、2年分、2571人を調査した。ASDの有病率は3.3%、ADHDの有病率は4.9%であった。ASDは56%がADHDと合併しており、病態が重なっていることが示唆された。また、ASDの視線検査により、ASDは人への注視が少なく、幾何学模様への注視が多いことが明らかになり、ASDは社会性として重要な「人への興味」の学習が遅れていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5歳児健診などで、毎年症例が蓄積している。現在304名分の解析が終了したところである。そのデータに基づき、3論文を作成中である。特にCNV,エクソンシークエンスを組み合わせた研究では、新規の自閉症関連遺伝子が見つかった。
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Strategy for Future Research Activity |
過去3年分で集積したサンプルの解析を進め、CNV解析による診断アルゴリズムの構築とアジア人に特徴的なASDのCNV領域について調べる。5歳児サンプル数を500サンプルまで増やし、各種ツールを行い、コミュニティベースドでASD,ADHDの有病率を明らかにする。また、de novoがコミュニティーベースドサンプルであるASDとADHDの診断に有効であるかどうかを明らかにする。さらに対照群の各種遺伝要因、環境要因の関与度を検討する。具体的には、出生時の両親の年齢と出生体重、5歳における身長、体重、頭囲、Kaup指数、TSH、FT3、FT4、IGF-1の値の相関、睡眠時間、養育環境などである。さらにGaze finder(NP-H001JVCKENWOOD)による視線検査が5歳児における、ASD、ADHDの診断に有効であるかどうかを明らかにすることを平成29年度行う。
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Research Products
(26 results)
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[Journal Article] Enrichment of deleterious variants of mitochondrial DNA polymerase gene (POLG1) in bipolar disorder.2017
Author(s)
Takaoka Kasahara, Mizuho Ishiwata, Chihiro Kakiuchi, Satoshi Fuke, Nakao Iwata, Norio Ozaki, Hiroshi Kunugi, Yoshio Minabe, Kazuhiko Nakamura, Yasuhide Iwata, Kumiko Fujii, Shigenobu Kanba, Hiroshi Ujike, Ichiro Kusumi, Muneko Kataoka, Nana Matoba, Atsushi Takata, Kazuya Iwamoto, Takeo Yoshokawa and Tadafumi Kato
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Journal Title
Psychiatry and Clinical Neurosciences
Volume: vol.71
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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