2016 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮細胞癌の浸潤・転移機序の解明ならびに浸潤・転移阻止実験
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15H05042
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川尻 秀一 金沢大学, 医学系, 教授 (30291371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 博幸 金沢大学, 医学系, 准教授 (30542253)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / 転移 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
高浸潤性口腔扁平上皮癌は浸潤先端部において免疫抑制性の微小環境を構築している可能がある。28年度はPD-1/PD-L1経路の活性化がこの一因となっているか否か、以下の研究を中心に行った。その結果、高浸潤性口腔癌細胞株におけるPD-L1の発現は低浸潤癌におけるPD-L1発現より低く、さらにEMT の誘導によりPD-L1の発現が減少していた。一方、すべての細胞株において、PD-L2の発現はPD-L1の発現と比較して低かった。ヒト口腔扁平上皮癌組織での免疫染色では、低浸潤癌ではPD-L1は癌細胞で発現していたが、高浸潤癌ではPD-L1は癌細胞での発現は見られず、むしろ間質細胞での発現が亢進していた。蛍光免疫共染色でこのPD-L1が発現亢進している間質細胞はマクロファージと樹状細胞であることを明らかにした。マクロファージまたは樹状細胞と高浸潤性口腔癌細胞株を共培養したところPD-L1発現上昇が観察され、免疫染色にてPD-L1の発現は腫瘍細胞ではなくマクロファージと樹状細胞であることを明らかにした。この共培養でのPD-L1発現亢進はMyD88阻害ペプチドとTLR4阻害ペプチドの添加により抑制されれていた。以上の結果から、本研究で高浸潤口腔癌でPD-L1発現が減少し、PD-L1の発現低下とEMTが密接に関わっていることを明らかにした。また、高浸潤口腔癌組織においてEMT誘導腫瘍抗原が腫瘍関連マクロファージおよび樹状細胞上のPD-L1の発現誘導に重要であり、その発現によって腫瘍細胞がT細胞等の攻撃から防御されている可能性が示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度は当初の計画と比較して、おおむね順調に進行している。28年度の後半に行ったin vivoの実験に関しては現在解析中であるが、その他は計画した実験を行い、解析も終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度の結果から、マクロファージおよび樹状細胞でPD-L1発現を誘導していると考えられるEMT誘導腫瘍抗原が、PD-1/PD-Lチェックポイントの阻害による利益を受けられる可能性がある患者の選択のための潜在的なバイオマーカーとなる可能性が考えられた。29年度予定されている研究に加え、これらの点についても明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(9 results)