2015 Fiscal Year Annual Research Report
高付加価値型歯周炎ワクチン―DNAオリガミとイミダゾキノリンによるIgA誘導―
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15H05052
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
多部田 康一 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20401763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 豊 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50397717)
高橋 直紀 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (80722842)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯周炎 / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ワクチネーションには持続的な歯周炎罹患の予防と再発の抑制効果を期待するうえで大きなアドバンテージがあるが、実際に臨床応用が可能な歯周炎ワクチンは未だ開発されていない。本研究の目的は近年の病原体の初期認識から獲得免疫誘導に至る分子機構の理解と、最新のDNA加工技術の応用により、工夫・改良を加えた新しい歯周炎に対する高付加価値型ワクチンの設計を試みることである。本申請における新世代高付加価値型歯周炎ワクチンにおいては以下1)-3)をコンセプトとして検討をおこなっている。1)新規の効果的なアジュバントの検討:DNAオリガミ体、イミダゾキノリン誘導体を用いて樹状細胞の活性経路を選択し、通常の細菌感染では誘導されないI型インターフェロンを誘導することで飛躍的なアジュバント効果を得る。2)不活化全菌体ワクチンの応用: MHC多型による患者個体差の少ないワクチンとする。3)粘膜ワクチンの応用:唾液腺関連所属リンパ節への拡散によりIgA産生を誘導するアプローチを選択する。 本年度はイミダゾキノリン誘導体(R848)、をアジュバンドとして応用した際の、不活化P。 gingivalis死菌ワクチネーションの抗体産生誘導について効果的なワクチン設計のための検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系の確立とコンパウンドの至適用量を検討するためC57BL/6(野生型)マウスを用い、イミダゾキノリン誘導体(R848)をアジュバントとして、不活化抗原P。 gingivalis W83を用いたワクチネーションによる血清中のIgA誘導能を評価した。Day0、Day7、Day14の3回の抗原・アジュバント投与後Day21に血液、唾液、糞便の外分泌液検体を採取してこれらのデータについて評価を行った。 結果として、イミダゾキノリンの投与により抗原特異的IgAの産生が誘導された。イミダゾキノリンの至適濃度を1mg/kgとして決定した。 また、顎下腺中IgA産生が1mg/kg、 糞便中IgAは5mg/kgのイミダゾキノリン濃度で誘導されることから、イミダゾキノリンがより効果的に唾液線からのIgA 産生を誘導することが明らかになった。また、唾液線、小腸において特徴的なケモカインCCL5、CCL8の発現を観察した。これらの情報を踏まえてさらにR848による唾液線からのIgAの効果的誘導について検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
イミダゾキノリンが効率的に唾液腺へIgA産生細胞を誘導し、抗体の産生を促すことはこれまで知られておらず、そのメカニズムを明らかにする。R848を投与し、唾液腺、腸管における抗体価を上昇させ、通常時とケモカインとそのレセプターの発現量を比較することで、唾液腺へのIgA産生細胞の誘導に働くケモカインを探索することを計画している。 本課題と関連して採択された国際共同研究加速基金により、テキサス大学サウスメディカルセンター、Bruce Beutler 研究室との共同研究を行う。イミダゾキノリンを用いたIgA産生を指標にENUミュータジェネシスにより産生されたマウスにおいてスクリーニングを実施することにより、IgA産生誘導においてキーとなる分子群の検索を行う。
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Research Products
(1 results)