2016 Fiscal Year Annual Research Report
ウガンダにおけるマラリア病態と腸内環境の相互作用の解析
Project/Area Number |
15H05274
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
久枝 一 国立感染症研究所, 寄生動物部, 部長 (50243689)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マラリア / 腸内細菌 / ウガンダ |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリアは今もなお世界中で猛威を奮う感染症である。その病態は宿主の免疫応答との相互作用もあり非常に多彩であり、マラリアの予防・治療の開発には病態の理解は不可欠である。申請者らはこれまでにマウスモデルを用いてマラリアの免疫病態についての研究を進めてきた。近年、腸管寄生性蠕虫のマラリアへの影響、さらにはマラリアの病態における腸内細菌の影響など、マラリアと腸管の関連性の明らかにしてきた。本研究では、これらのマウスモデルで得られた知見がヒトにおいても見られるかをウガンダでのマラリア患者を対象として検討することを目的とした。 平成27年度に引き続き、28年度にもウガンダに赴きマラリア患者からサンプリングを行った。これまでの結果に基づき、新たに重症のマラリア患者、健常ボランティアも対象とした。得られた160ほどの糞便サンプルからDNAを抽出し、それをテンプレートとして全ての細菌の16S rRNAをコードする遺伝子を増幅する。増幅した遺伝子を次世代シークエンサーで読み込み、その配列に基づき腸内細菌の菌種を同定、半定量を行うことで腸内細菌叢の網羅的解析を行った。マラリア患者では、健常人と比較して、腸内細菌に大きな変調がみられ、特に重症患者で顕著であった。治療を施し、2週間後の回復期の糞便中の腸内細菌は健常者に近づいていた。これらのことから、ウガンダのマラリア患者においても腸内細菌に変調がみられること、重症度に応じてその程度も大きくなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地では、質も良好で豊富なサンプリングが行えた。糞便サンプルを用いた腸内細菌叢の解析も予定通りでき、興味深い結果が得られた。現地の情勢が安定せずこれ以上のサンプル採取が困難であることが予想されるが、これまでの渡航で十分な量が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の予定通り研究を進める。しかし、現地の情勢やこれまで得られた質・量ともに良好なサンプルを考慮すると、これらのサンプルの詳細な解析を優先させて行う。糞便サンプルの腸内細菌の解析は、ほぼ完了したので、今後は血液サンプルをもちいて、血清中の免疫物質の解析を行う。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] A possible origin population of pathogenic intestinal nematodes, Strongyloides stercoralis, unveiled by molecular phylogeny2017
Author(s)
Nagayasu E, Aung MPPTHH, Hortiwakul T, Hino A, Tanaka T, Higashiarakawa M, Olia A, Taniguchi T, Win SMT, Ohashi I, Odongo-Aginya EI, Aye KM, Mon M, Win KK, Ota K, Torisu Y, Panthuwong S, Kimura E, Palacpac NMQ, Kikuchi T, Hirata T, Torisu S, Hisaeda H, Horii T, Fujita J, Htike WW, and Marauyama H
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 7
Pages: 4844
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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