2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H05483
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
杉安 和憲 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (80469759)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超分子化学 / 超分子ポリマー / アゾベンゼン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、アゾベンゼン誘導体を用いた光制御リビング超分子重合に成功した(J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 14347)。アゾベンゼンの光異性化と、超分子ポリマー化を組み合わせることで、速度論的に超分子ポリマーの成長を制御できることを実証した。この時、超分子ポリマーの成長速度は、光異性化に用いる可視光の波長や強度によって調節できる。したがって、本手法は、リビング超分子重合の新しい手法として興味深いだけでなく、超分子ポリマー化を時空間的にコントロールする手法としても展開できると期待される。
また、以前から研究を進めているポルフィリン誘導体については、平成27年度に発見した『分化現象』のメカニズムを解明した。非常に興味深いことに、1次元および2次元の自己集合は異なるメカニズムで進行するため、それぞれ独立に制御する事が可能であった。2014年に報告したリビング超分子重合の手法を用いる事によって、本系に対しても1次元および2次元の両方でリビング超分子重合を達成した(Nature Chem. 2017, in press)。
ポルフィリン誘導体の側鎖を変えることによって、自己集合における核形成の速度定数を調節できる事を明らかとした。これは核形成過程のエントロピーに影響を受けていた。核形成速度がことなる誘導体は、異なるサイズの集合体を与えた。リビング超分子重合とは異なる方法で超分子集合体のサイズを制御できる手法として興味深い(Polymer, in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べた『1次元および2次元のリビング超分子重合』は、当初全く予期していなかった成果であり、世界的にも我々のグループのみがなし得た実績である。この点から、本研究が当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を遂行する中で得られた予想外の成果である2次元のリビング超分子重合は、非常に興味深い。2次元には、(1次元にはない)形という特徴がある。今後は、この形を制御できる2次元リビング超分子重合を目指す。 また、28年度の研究でアゾベンゼンの光異性化を超分子重合とカップルさせたように、ポルフィリンの亜鉛金属への配位結合を超分子重合とカップルさせたシステムを構築する。これによって、リビング超分子重合を実現するためのアプローチの汎用性を実証する。
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Research Products
(16 results)