2016 Fiscal Year Annual Research Report
Identification and control of disease-specific network by trans-omic analysis
Project/Area Number |
15H05582
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柚木 克之 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 上級研究員 (70433745)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | トランスオミクス / システム生物学 / メタボローム / プロテオーム / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
シドニー大学のDavid James教授との共同でマウス3T3L1脂肪細胞を用いてリン酸化プロテオームと炭素13標識メタボロームを統合するトランスオミクス解析を実施した。その結果、インスリン刺激による代謝フラックスの変動に先んじて代謝酵素リン酸化がパスウェイの各所で起こる’metabolic priming’ 現象を見出した。この成果は2017年11月22日付けでCell Reports誌に採択された。また、Current Opinion in Systems Biology誌にて総説を発表し、(1)代謝物質が単にシグナルの下流に位置する従属変数的な存在ではなく、シグナルを惹起しうる刺激因子としてシステムの独立変数としても振る舞うことや、(2)各オミクス階層に固有のタイムスケールをつなぐ技術開発の必要性などを論じた。これらの成果について、9月に第42回日本医用マススペクトル学会年会にて、11月には欧州分子生物学研究所・機構(EMBL/EMBO)主催のシンポジウム "From Single- to Multiomics: Applications and Challenges in Data Integration" にて口頭発表した。また、同シンポジウムと前後して関連分野の世界的有力指導者である欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Insutitute)のPedro Beltrao教授、フランシス・クリック研究所(英国)のMarkus Ralser教授、スイス連邦工科大チューリッヒ校のUwe Sauer教授の研究室を訪問してセミナー発表およびディスカッションを行った。上記のシンポジウムおよびセミナー発表に際しては、前記論文の成果を詳説したほか、本研究で得られた最新の予備的成果についても併せて議論した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
手法開発に関する論文改訂の過程で、オミクス解析結果に関して当初予定していた解析のみならず新規のパスウェイ解析と統計的解析を要求された。本研究遂行上、オミクスデータ取得に先立ってこの解析手法を確立することが必要であるので、論文改訂に要求された新規解析手法開発の必要が生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウスに経口グルコース負荷試験を課して肝臓の時系列サンプルを取得する。取得した肝臓サンプルを用いてポジティブコントロール分子の挙動を測定し、先行研究で既報の通りの応答がみられたサンプルについて時系列トランスクリプトーム、プロテオーム(リン酸化含む)、メタボロームを計測する。計測した多階層オミクスデータは、開発済みの多階層ネットワーク再構築パイプラインに入力し、健常マウスおよび疾患モデルマウスそれぞれの多階層ネットワークを再構築する。さらに、両者のネットワークを比較し、「疾患特異的ネットワーク」の特定を試みる。
|
Research Products
(12 results)