2015 Fiscal Year Annual Research Report
骨新生因子が仲介する骨-脂肪組織連関メカニズムの解明
Project/Area Number |
15H05646
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
高野 晴子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (40532891)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 肥満 / 骨 / ベージュ細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画1)骨新生因子(HDOI)がin vivoにて肥満抑制するかを明らかにするためにHDOIのノックアウト(KO)マウスに高脂肪食(HFD)負荷を3ヶ月間施し、一週間ごとの体重変化の記録、各脂肪組織重量の測定、グルコース耐性試験(GTT)、インスリン耐性試験(ITT)を行った。しかし、現在使用しているマウスは、C57BL/6と129Sv系統が混在した遺伝的背景であるために、本解析において一定した結果は得られなかった。遺伝的背景が全身性代謝に及ぼす影響はすでに報告されており、現在はC57BL/6系統への戻し交配中でありF8世代まで完了した。 計画2)in vitro のベージュ細胞初代培養系については、現在実験系を確立している途中である。上記の系を代替するin vivoの系としてHDOIを肝臓にて過剰発現するTg(SAP-HDOI)マウスを作成し、このマウスの各脂肪組織(褐色脂肪組織、鼠蹊部脂肪組織、生殖腺脂肪組織)を用いてBATマーカーの発現量を検討した。その結果、19週の♀マウス生殖腺脂肪組織においてBATマーカーの発現上昇を認めた。 計画2-B) 骨膜細胞をラベルするために現在のKOマウスからES細胞を樹立し、HDOI遺伝子座を改変する予定であった。しかし骨膜細胞の初代培養システムの確立に成功したため、本年度は骨膜細胞を用いて解析した。採取した骨膜細胞はin vitroにて脂肪細胞と骨細胞へと分化誘導を行い、HDOIがこれらの細胞分化に与える影響を解析したが、いずれも影響は見られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はマウスを用いた解析であり、個体間のバラツキがある上に、さらに三ヶ月間のHFD負荷を行う必要があるので時間を要している。また、ベージュ細胞の形成については遺伝的背景の違いも考慮しなければならないため、戻し交配も必要である。したがって、当初の予定よりは多少時間を要しているが、今後の解析をスムーズに行うために必須であり妥当な作業であると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画1 1)HDOIがin vivoにおいて肥満抑制効果を示すかをC57BL/6の遺伝的背景に統一したF8世代を用いて検討する。2)ベージュ細胞形成に対するHDOIの生理活性を検討するために、ベージュ細胞分化誘導系を立ち上げ、in vitroにおいてHDOI添加による分化状態の検討をする。3)HDOIの受容体候補の一つとしてNPR3が挙げられるので、SAP-HDOIとNPR3 KOマウスを掛け合わせることにより、ベージュ細胞形成に対する生理活性がNPR3を介したものであるかを明らかにする。 計画2 4)骨膜の初代培養システムを用いて、野生型とHDOI KOマウスから得た骨膜細胞に間葉系細胞としての分化能力に違いがあるかを検討する。5)内在的受容体がNPR3でないと判断される場合は新規受容体採取のためのスクリーニングアッセイ系を立ち上げる。
|
Research Products
(6 results)
-
-
-
-
-
[Book] 血管医学2015
Author(s)
高野 晴子、千葉 彩乃、宮崎 敬大、望月 直樹
Total Pages
3
Publisher
メディカルレビュー社
-