2015 Fiscal Year Annual Research Report
マイクログリアからみた統合失調症の覚せい剤動物モデルにおける病態解明と治療法研究
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15H06000
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 侯輝 北海道大学, 大学病院, 助教 (40455663)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | サンプリング / 免疫組織化学 / 手技の確立 / 蛋白調整 / ウエスタンブロッティング / BCAアッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
Methamphetamine (METH) 2 mg/kgを隔日に5回投与し、1週間の休薬期間をもうけ、METH 1 mg/kg再投与後1時間の時点で、マウスに麻酔をし、心臓からPBSを還流して洗い流した後4%ホルムアルデヒド(PFA)で還流固定して12匹抜脳した。また別の12匹に同じprotocolで還流固定せずに脳を取り出し、部位分けして、-80度に保存した。さらに上記2回の実験において同時に血清を作成し、合計24匹分のサンプリングが終了した。その後PFA後脳から切片を作成し、免疫組織化学法のprotocol確立を行った。最終的にIba-1抗体がきちんとワークすることを顕微鏡下で確かめた。また当初、活性型マイクログリアに関してはc-fosで評価する予定であった。しかし、近年これを評価するにあたり、人のPET画像研究でperipheral benzodiazepine receptor抗体(PBR)が多く使用されるようになったことが判明し、本実験でも同抗体を用いることとした。現在、この抗体の情報収集を行っている。 これらと同時に、PFAで固定しない脳組織の蛋白測定用の調整を始めた。本研究で一番大切と思われる蛋白測定アレイを購入し、そのキットの中で使用される溶液を使用して、脳組織を粉砕、溶液化を始めた。また全蛋白量を測定する為のBCAアッセイ法に必要な各機械の調整、確保を行った。さらに蛋白測定アレイで標的分子候補が挙がってきた後に、別にウェスタンブロッチングにて蛋白量の差の検出を再確認する必要がでてくることから、このprotocolも合わせて確立した。本期間ではサンプリングが大きく進み、抗体によって多少の修飾は必要であるが、免疫組織化学法の手法確立、蛋白調整法の確立とアッセイキット用への適応、その後のウェスタンブロッティング法の手技の確立と多くのことを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性型マイクログリアの評価に使用する予定であったc-fos抗体をperipheral benzodiazepine receptor抗体(PBR)に変更した。それ以外は順調に経過していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様、休まずに継続して研究を行う。リサーチの途中で予定の変更があれば、きちんと根拠を明確にした上で実験計画を変更する。 平成27年度に作成した覚醒剤モデルマウスのホルマリン固定脳を用いて平成28年度4月から免疫組織化学法により、マイクログリアの抗体であるIba-1抗体と活性型マイクログリアの抗体であるperipheral benzodiazepine受容体抗体により脳の切片を染め、活性型のマイクログリアの多く分布する脳部位を検索する。次に昨年度作成した脳組織と血液サンプルを用いて40種類同時に測定できるpro-inflammatory factorの定量アレイキットにより、覚醒剤投与群で炎症促進因子タンパク量の多いもしくは少ない因子を見つけ出す。ここで標的となった因子に関して、同じサンプルを用いてウエスタンブロッテイング法でタンパク量に差があるかを再確認する。その後、標的因子を調整する薬剤を選択し、動物モデルラットに投与し、覚醒剤反復投与によって形成される異常行動の発現が阻止できるかを検討する。同時に血液中と脳での標的因子のタンパク量をモニターし、血液ー脳の関連をみる。これらにより覚醒剤特有の分子標的の探索と統合失調症の新たな治療法を模索する。
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