2015 Fiscal Year Annual Research Report
核酸アプタマーによる受容体型チロシンキナーゼ活性化過程の速度論解析
Project/Area Number |
15H06136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植木 亮介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90755703)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 受容体型チロシンキナーゼ / 核酸アプタマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、受容体型チロシンキナーゼの活性化機構の分子レベルでの理解に向け、受容体型チロシンキナーゼに結合する人工リガンド分子を用いた受容体クラスタリング挙動の制御を行い、これら人工リガンド分子がもたらす受容体の活性化効率との相関を解析することを試みる。本年度は主に受容体クラスタリングの制御・解析を行うための人工リガンド分子の設計と評価を進めた。具体的な研究実績の概要を下記に示す。 第一に、解析に用いる人工リガンド分子の設計を行った。標的受容体結合性の核酸配列(核酸アプタマー)と連結させたリンカーDNAの相補鎖形成を利用することによって、高次構造が規定されたDNAナノ構造モチーフを設計し、核酸アプタマーの提示様式を変化させた種々の人工リガンド分子を作製した。第二に、上記で作製した人工リガンド分子の評価を行った。ELISAなどの生化学実験の結果より、設計した人工リガンド分子はいずれも天然の増殖因子と同様に受容体を活性化するアゴニストとして機能することを見出した。また、興味深いことに標的受容体の活性化効率が人工リガンド分子の構造によって変化することを見出した。今後、これらの人工リガンド分子を用いた受容体活性化過程の解析を行うことによって、受容体活性化に重要なリガンド分子の構造要件を抽出することができれば、受容体型チロシンキナーゼの活性化プロセスに関する新たな知見が得られることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は受容体クラスタリング挙動の解析に用いるための人工リガンド分子の設計と評価を行った。主に、受容体の二量体形成様式(距離・配向など)に着目した分子設計を行い、解析に供する人工リガンド分子のレパートリーを構築した。生化学的アッセイにより、設計した人工リガンド分子が機能することも確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、解析に供する受容体結合性人工リガンド分子の開発を進める。また、受容体の活性化・クラスタリング挙動の解析を行うため、改変受容体の作製を行う。具体的には、人工リガンド分子の結合を阻害しない部位へ改変を施した受容体を用いて、蛍光あるいは化学発光による二量体化過程の解析を行うことを予定している。最終的には、これまでに開発した人工リガンド分子のレパートリーを用いて受容体クラスタリング過程の解析を行い、これらリガンド分子の持つ構造的要素と受容体活性化効率の相関を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(2 results)