2015 Fiscal Year Annual Research Report
Translation and Adaptation of Japanese Literature in Lianhuanhua(Chinese Comic)
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15H06257
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尹 シセキ 名古屋大学, 文学研究科, 研究員 (80761410)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 連環画報 / 絵画連環画 / 映画連環画 / クリムト / 尤勁東 / 人到中年 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、戦後から1990年前後までの連環画雑誌、単行本を全般的に調査し、日本の文学、映像、マンガから翻訳、再創作したと思われる作品を収集することに集中した。単行本は中国の古書市場から収集可能なものを購入し、連環画雑誌は『連環画報』、『富春江画報』を主として国立国会図書館関西館、愛知大学図書館豊橋館、中国の地方図書館、古書点などで調査し、日本に関連する作品を複写し整理した。 また、連環画専門書、例えば雑誌『連環画研究』や、指導書『どうやって連環画を画くか』などを参考にし、1980年代中国の連環画の手法やテーマの傾向を考察した。平成27年度に公開した論文「連環画『人到中年』の多様なアプローチ:小説および映画と比較して」(『連環画研究』第5号、2016.3)は、日本の作品ではなく、中国の小説『人到中年』の連環画化作品を取り上げているが、同時代連環画の新しい画風を見出す論文だったため、日本文学を翻訳、再創作するための技術的背景を考察したものといえる。また、連環画『人到中年』の絵にある都市風景やファッションを分析する際に、1980年代の中国社会がいかに日本映画(『君よ憤怒の河を渡れ』や高倉健のスターダムなど)から影響を受けたかについても言及している。 書誌情報、作品データの収集が順調である一方、当初予定していた連環画家と編集者へのインタビューは、研究開始した時点から試みようとしたが、予想通りに連絡が取れないことがほとんどである。出版社資料や同時代の新聞、大衆雑誌も入手困難なものが多いため、作り手側の戦略を分析するという目標は達成したとはいえず、平成27年度分の研究はやや遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、連環画家と編集者にインタビューを行う予定だったが、通信環境やコネクターに制限があり、連絡が取れないことがほとんどであることが判明した。また、連環画関連の出版社資料(上海美術出版社など)や同時代の新聞、大衆雑誌も入手困難なものが多い。そのため、作り手側の戦略を分析するという目標はまだ達成しておらず、平成27年度分の研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
実行に時間がかかりそうな出版社資料調査、同時代言説の調査、連環画作家や編集者へのインタビューをより長期的な目標とする。既に収集できた連環画作品の表象分析を行い、戦後日中間の政治的文脈、文化関係、人的ネットワークに関連付けながら、日本文学、映像、マンガの翻訳と再創作が持つ同時代的意味を明らかにすることに力を入れる。
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Research Products
(1 results)