2015 Fiscal Year Annual Research Report
形質細胞様樹状細胞におけるインターフェロン産生誘導メカニズムの解明
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15H06454
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
財賀 大行 香川大学, 医学部, 助教 (40752499)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 形質細胞様樹状細胞 / 分子メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cells; pDC)は、細菌やウイルス感染初期に迅速かつ極めて大量にI型IFNを産生・分泌することができる専門的な細胞として知られている。しかしながら、pDCによるI型IFN産生の詳細な分子制御メカニズムは未だ明らかになっていない。本研究で申請者は、pDCのI型IFN遺伝子プロモーターを活性化もしくは抑制させる新規調節因子の探索・特定を目的とし、pDCによるI型IFN遺伝子の発現制御機構の全体像を明らかにする。 ①新規調節因子の同定 pDCのI型IFN産生に関与する転写因子Spi-Bと相互作用する新規調節因子を同定するために、shRNAライブラリーを用いて網羅的解析を行なった。その結果、pDCのI型IFN遺伝子プロモーターを活性化させる因子の候補として11分子が、抑制させる因子の候補が6分子見つかった。 ②遺伝子ターゲティングマウス作製システムの立ち上げ pDCのI型IFN産生に関与する新規の調節因子が特定された場合、候補分子の欠損マウスを作製し、分子レベルだけでなく個体レベルでも解析を行ないたいと考えている。そこで申請者は、近年開発されたCRISPR/Cas9法を用いた遺伝子ターゲティングマウス作製システムを立ち上げることにした。実験動物中央研究所に1週間研修に行き、基本的なマウス胚操作を学んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、平成27年度中に形質細胞様樹状細胞のI型IFN産生に関与すると予想される新規分子の特定をすることができた。また今後の個体レベルでの解析で使用する遺伝子ターゲティングマウスの作製システムの立ち上げも順調に進んでおり、平成28年度中にはCRISPR/Cas9法による作製システムによって目的の遺伝子を欠損させたノックアウトマウスの作製が可能になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
shRNAライブラリーを用いた網羅的解析から、pDCのI型IFN遺伝子プロモーターを活性化させる候補因子として11分子が、抑制させる候補因子が6分子見つかった。今後これらの分子群の発現ベクターを順次作成し、これらのベクターとSpi-B発現ベクター、I型IFN遺伝子プロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子を連結させたレポーターを用いたルシフェラーゼアッセイを行なうことによって、in vitroで候補因子によるI型IFN産生への影響を評価する予定である。また免疫沈降法を用いて候補因子とSpi-Bの会合についても解析する。 In vivoにおける候補因子の役割を解析するために、候補因子の遺伝子を欠損させたマウスを作製する予定である。欠損マウスが出来次第、野生型マウスと欠損マウスの血中でのI型IFN産生量を比較検討し、生体内での候補因子の影響を評価する。また、マウスにウイルスあるいは細菌を感染させることによって免疫系への影響も同時に検討する。
本研究によって細胞レベルおよび個体レベルで候補因子のI型IFN産生への関与が明らかになれば、I型IFN産生が原因で起こるSLEなどの自己免疫疾患に対する新たな治療薬開発につながることが期待される。
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