2015 Fiscal Year Annual Research Report
経常収支と輸出入産業からみる原油価格の変化と日本経済
Project/Area Number |
15H06585
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
和田 龍磨 慶應義塾大学, 総合政策学部, 准教授 (20756580)
|
Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
Keywords | 非線形多変量モデル / 衝撃応答関数 / 経常収支 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究スタート支援のため本年度は年度途中からの研究開始となったが、(1)経常収支をめぐるマクロ経済理論分野および計量経済学方法における先行研究のレビュー、(2)経常収支、原油価格、為替レート、鉱工業生産指数などのデータ収集、および(3)計算設備のセットアップを主に行った。 (1)の文献レビューの過程で、本研究が利用する非線形多変量モデルを用いた研究では、当初予定していたシミュレーションによる衝撃応答関数の推定ではなく、近傍射影法による方が簡便であるとの研究結果が見つかったため、本研究への近傍射影法の応用可能性についても検討した。(2)データ収集については、主に所属大学が所有するデータバンクからの取得を行ったが、この際、本研究補助によりアルバイトを雇用したことが研究を進める上で大いに有効であった。 (3)計算設備は本補助金により購入した高性能コンピュータとインストールしたソフトウェアにより、計算を効率的に行うことが可能となった。 しかしながら、データの整理に予想以上に時間がかかっていることもあり、ブートストラップを用いた衝撃応答関数の推定にまでは至っていない。このため、平成28年度はできるだけ早い段階で衝撃応答関数をブートストラップにより推定し、その後には当初の予定通り、検定についての統計的性格を検討することにする。その後にはワーキングペーパーの執筆を行ってコンファレンス等で発表を行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献レビューの過程で、衝撃応答関数の推定には当初予定していたブートストラップ法ではなく近傍射影法によるもののほうが簡便であるという研究結果を発見したため、当初の予定をはずれ、近傍射影法の本研究への応用可能性を検討したことが、当初の予定からすれば進捗に若干の遅れが出たことの直接的な原因である。しかし、研究内容について深く、かつ多方面からの考察が可能になったということもある。またデータの整理に予想以上に時間がかかり、このことも当初の予定より若干遅れをきたしたことの理由である。この点については、年度の終盤に学生アルバイトを雇用した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要でも触れたとおり、直ちに衝撃応答関数の推定をブートストラップ法によって行うとともに、近傍射影法についても立ち入った考察を行う。この点については、シミュレーションによって2つの方法のいずれが本研究が目指す、経常収支、産出量、原油価格のデータに基づくモデルに適しているかを判断する。また、為替レートもモデルに組み込むべきかについて、選考研究を調べながら検討を行う。 その後には当初の予定に沿って検定についての統計的性格を検討することにする。この段階ではシミュレーションを多用するためかなりの時間が必要になると考えられるが、昨年度購入した計算機と今年度購入予定の計算機を用いて効率よく行う。 一通り結果が出そろったらワーキングペーパーの執筆を行い、秋ごろに行われる国際コンファレンス等での発表を目指す。
|