2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H06740
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
遠藤 隆 龍谷大学, 農学部, 教授 (60068830)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | セリアック病 / パンコムギ / 染色体欠失 / グリアジン / 免疫抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、セリアック病緩和パンコムギの育成を目指して、本免疫疾患の主要抗原であるγグリアジンの遺伝子座を欠失した1D染色体とαグリアジンの遺伝子座を欠失した6D染色体を持つパンコムギの二重欠失系統を育成することである。平成27年度には、1D(4系統)と6D(3系統)の染色体欠失系統間の交配を行い、得られたF1雑種からF2子孫を育成し、そこから二重欠失系統を選抜すること、及び、これらの欠失をパンコムギ実用品種への導入を開始することであった。また、欠失をPCRで同定できるようなマーカーを選抜することも目指した。実績の概要は以下の通りである。 1、欠失系統間の交配:1D(4系統)と6D(3系統)の欠失系統間の12組合せの交配をすべて行い、すべての交配からF1雑種を得た。 2、F2子孫の育成:1D(4系統)と6D(3系統)のそれぞれを観察した結果、系統間で明らかな生育の差が認められたので、生育良好な1Dと6Dの欠失系統を2系統ずつ選び(1D-4, 1D-5; 6D-4, 6D-7)それらの間の4組合せのF1系統を播種し、染色体の調査を行った。これらの系統は現在温室で育成中である。 3、欠失のパンコムギ実用品種への導入:チェコの実用5品種を1D(4系統)と6D(3系統)の欠失系統と交配して35組合せのF1を得た。日本の実用品種としては北海道の春小麦3品種と滋賀県の品種2系統を選び、それらを二重欠失ヘテロ系統に交配するために栽培中である。 4、PCRマーカーの選抜:1Dと6Dの欠失を同定できることが期待されるPCRマーカーをデータベースで検索し、候補の19マーカーのプライマーを設計して注文した。PCR解析の結果、1D及び6Dの欠失系統すべてを単純な一つバンドの増幅の有無で同定できるマーカーを一つずつ選抜することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した交配はすべて行い、F1雑種を得ることができた。チェコの実用品種への交配も行うことができた。また、欠失同定のためのPCRマーカーも解析が簡単なマーカーを選抜することができた。ただ、生育が全般に遅れたため、予定した二重欠失系統のF2子孫を得ること、日本の実用品種に欠失系統を交配することを年度内に完了することができず、次年度に繰り越した。
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Strategy for Future Research Activity |
植物の生育が予想よりも遅かっため研究の進展が予定通りではないが、その遅れは3か月程度である。また、これまでの研究で、交配及び染色体の調査による欠失の選抜は問題なく行えることが明らかになったので、予定通りのスケジュールで次年度も研究を進める。ただし、今後は、すべての欠失系統の組合せを調査するのではなく、研究の過程で明らかになるであろう最も有望な系統に絞って交配、選抜を行い、迅速、効率的な二重欠失の実用品種への導入を行う。
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