2015 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1 bZIP factor による宿主機能撹乱メカニズムの解析
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15H06790
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
向井 理紗 徳島文理大学, 薬学部, 研究員 (90607996)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | HTLV-1 / HBZ / 発がん / 翻訳後修飾 / ATL |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト T 細胞白血病ウイルス 1 型 (HTLV-1) は、成人 T 細胞白血病 (ATL) の原因となるレトロウイルスである。これまでに、ATL 患者由来の T 細胞に例外なく発現するウイルス由来タンパク質として HTLV-1 bZIP factor (HBZ) が同定されており、HBZ こそが ATL 発症に必要不可欠な因子であると示唆されている。 本年度は、HBZ の宿主細胞内での生理機能を明らかにすることを目的として 2 つの因子に着目し、研究を行なった。 以前、酵母ツーハイブリッド法によって HBZ と相互作用する因子として cullin 型 E3 ユビキチンリガーゼ複合体の構成因子である Cullin 1 (CUL1) を同定した。共免疫沈降法により、HBZ と CUL1は head-to-tail の形で相互作用することを見いだした。また、HBZ を細胞内に過剰発現させると CUL1 が基質とする種々の宿主細胞内因子のユビキチン化を顕著に抑制することが示唆された。これは、HBZ が E3 リガーゼ複合体因子の中でもアダプタータンパク質として機能する Skp1 のリクルートを顕著に妨げることによるものであった。 これまでに HBZ と相互作用する宿主因子として脱アセチル化酵素 histone deacetylase-6 (HDAC6) を得ている。共免疫沈降法の結果、HDAC6 タンパク質中に 2 つ存在する触媒領域のうち C 末端領域に近い部位で HBZ との結合が認められた。HBZ 側に関しては今回データが得られなかったため今後詳細を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回、CUL1 を介した HBZ の機能解析に関しては計画通り進展しているが、HDAC6 と HBZ の機能解析が思うように進展しなかった。特に、HBZ 側の結合領域が絞りこめなかったためその後の解析に支障が出た。
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Strategy for Future Research Activity |
CUL1 により調節される因子として、アポトーシス、オートファジー、細胞周期などを制御するものがある。そこで HBZ を発現させた場合、それらの機能に影響を及ぼすか解析する。また、動物細胞中に一過性に HBZ を過剰発現させた場合では観察された CUL1 の基質タンパク質の安定化が、HTLV-1 感染細胞中でも認められるか解析する。 HDAC6 と HBZ の関係性についてはまず、HBZ の様々な部位欠損変異体を作成し、結合領域を解析する。その後、HBZ によるαーチューブリンのアセチル化亢進能が HDAC6 の機能阻害によるものか否か、先ほどの変異体を用い解析を行なう。これまでに、我々のグループは HBZ が細胞質に輸送されることを見いだしている。HDAC6 は細胞質に存在する因子であることから、HBZ の核外輸送が HDAC6 との相互作用に重要であるか検討する。
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