2015 Fiscal Year Annual Research Report
異原子含有炭素の持つ電極触媒能の起源解明とその知見に基づく新規炭素系触媒の創製
Project/Area Number |
15H06850
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
坂牛 健 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 研究員 (50756484)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 材料化学 / 電極過程 / 無機工業材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は酸素還元反応(ORR)と酸素発生反応(OER)共に高活性で長寿命、かつ安価な異原子含有炭素を基にした新規電極触媒の創製とその展開を目的としている。平成27年度は具体的には以下の研究を実行した。
1、Nitrile-Chemistryを基盤に新規な多孔性異原子含有炭素の合成法の確立をした。材料に大型のメソ細孔を付与する方法は限られており、またあるとしても鋳型を使う方法が一般的である。また、鋳型はしばしば材料に触媒活性を付与する不純物を与えてしまい、清浄なモデル炭素系電極触媒を合成するのに不適格であった。そのような背景のなか、本研究ではNitrile-Chemistryに基づく多孔性材料の合成戦略を提案した。この合成戦略により、多孔性炭素電極触媒を純粋な有機分子のみから得られる様になった。また同方法では、鋳型を取り除く作業などを必要としないなど、清浄なモデル多孔性炭素を得るのに最適であり、今後の同研究課題の基盤材料が得られるようになった。 2、炭素に含まれる異原子の窒素の化学構造を制御可能にする合成方を確立した。この合成法を基に、水系電解液中における高ORR活性に必要な異原子の化学構造を特定した。ORR活性に必要なのはピリジン構造を持った窒素原子がグラフェン構造のエッジにあることであり、ピロール型の窒素は逆にORRを不活性化させることが示唆された。また、窒素の含有量は多い必要がなく20 at%のピリジン・ピロール型の窒素を共に含む異原子含有炭素よりも、6 at%でもピリジン型のみの窒素を持つ炭素の方が高活性であることを見出した。この研究より、異原子含有炭素における材料設計に最も必要な異原子の化学構造と触媒活性の相関に関する知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多孔性と異原子の化学構造を共に制御できるモデル多孔性異原子含有炭素の合成法について、ほぼ確立した。また、金属化合物との複合化に関しても大きく進展している。触媒活性評価に関しては、ORRとOERともに行っており、最も高活性な材料を得るために最適化を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の最大の課題は、多孔性異原子含有炭素と金属化合物の複合化における最適な組合せを見出すことである。ORR/OERは共に触媒にとって過酷な反応であり、触媒の劣化が問題となる。そのため、高いORR/OER活性を持ちつつ、高い寿命を持つ触媒を得られるように今後は材料の触媒活性評価に重点を置く。そうすることで有望な材料を見出し、順次電池系で特性評価を行う。
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Research Products
(7 results)