2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J00077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
犬飼 渉 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 道徳哲学 / 政治哲学 / 構成主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
確定性をもつ非帰結主義理論にかんする以下の3課題を完了させた。課題A:数値化を避ける傾向にある非帰結主義者が苦手とする確率論・リスク論を踏まえた上で、非帰結主義理論を採用すべきと言えるかが不明なこと。これが問題点であった。帰結だけでなく帰結以外の要素をも価値づけることが、リスク判断に正当性と確定性を与える根拠となっていることを示し、非帰結主義を支持した。課題B:主流派の解釈(川本隆史『現代倫理学の冒険』(1995);『ロールズ』(1997))によると、多数の非帰結主義者が依拠するロールズは、確定的な結論を導き出すための合理的選択理論から撤退した。これでは非帰結主義理論が多くの場合に確定性を担保できないことになる。これが問題点であった。テクスト分析により、ロールズが確定的な結論を出す合理的選択理論から撤退していないことを示した。課題C:リスク論を踏まえ、かつ、ロールズが対象とする基本的国家制度以外への適用も見込んで、実際的な問題にも広く使える非帰結主義理論を構築できるかが不明なこと。これが問題点であった。実践的推論における構成主義の意義、構成主義と判断の正当性の関係、構成主義と判断の確定性の関係を議論し、汎用的な非帰結主義理論の設計に見込みがあることを示した。 今年度は、論文出版、研究発表、共同研究のすべてで成果を残せたため、研究が順調に進展していると言ってよいと考える。また、ヘンリー・リチャードソン教授に連絡をとり、ジョージタウン大学哲学科(米国ワシントンDC)で客員研究員として在外研究してよいとの許可を得ることができた。来年度には、リチャードソン教授およびジョージタウン大学の大学院生から英文草稿についてのコメントをもらうことで、研究を洗練させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文出版、研究発表、共同研究のすべてで成果を残せたため、研究が順調に進展していると言ってよいと考える。ただし、一身上の都合により今年度に予定していた在外研究を来年度に延期した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘンリー・リチャードソン教授の協力のもと、ジョージタウン大学哲学科(米国ワシントンDC)で客員研究員として在外研究することが決まっている。米国滞在中に、リチャードソン教授およびジョージタウン大学の大学院生から英文草稿についてのコメントをもらうことで、研究を洗練させる予定である。英語論文数報分の結果を残すことがこの研究の最終目標であり、それにむけて研究を進展させる。
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Research Products
(3 results)