2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15J00278
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲宗根 勝仁 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 意味論的内在主義 / 言語哲学 / 指示 / モンスター |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に基づき、意味論的内在主義の検討を行った。 応用哲学会での研究発表では、カプランが「モンスター」と呼んだ、文脈を変動させるオペレータがカプラン的意味論にとってどれほどの脅威になるのかを考察した。カプラン的な枠組みの反例と代替理論を提示したサントリオの議論を検討した。サントリオの議論はカプラン的意味論にとって決定的な反証をしていないにしても、「指標詞は直接指示的である」というカプランが最も擁護したかったテーゼを放棄しなければならないと論じた。 チュラロンコン大学での研究発表では、意味論的内在主義と意味論的外在主義の論争を検討しつつ、意味論的内在主義および意味を個人の理解に結び付ける個人主義の可能性を追求した。具体的には、ヒラリー・パトナムに端を発する意味論的外在主義は個人の言語理解と意味の乖離を生み出すことを指摘し、言語哲学において支配的な外在主義ではなく、その代替理論でありまた言語学の分野で擁護者の多い意味論的内在主義が擁護可能であることを示した。 チュラロンコン大学での研究発表を基にした論文「意味論的内在主義の擁護に向けて―指示の概念の検討―」が『メタフュシカ』に掲載された。当論文では、意味論的内在主義の基本的な枠組みを確認しつつ、意味論的外在主義を支える指示の概念の理論的位置づけを検討した。意味論的内在主義の直観的正当化として、普段の言語使用においては語の指示対象の存在を必ずしも前提しないことを挙げ、また理論的正当化として、サントリオが提示した直接指示に対する困難とサントリオ自身の代替理論を紹介した。指示の概念を意味論ではなく意味論の後に問題となる概念とみなすことによって指示に関わる私たちの直観がうまく説明できると論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
認識的二次元主義と意味論的内在主義の関連を十分には検討できなかったが、認識的二次元主義の基盤となる意味論的内在主義自体の検討を行うことができ、また指示の概念の理論的位置づけも明確化できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度検討した意味論的内在主義を基盤に認識的二次元主義を定式化しつつ、指標詞や名詞などより具体的な言語的現象に適用する。
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Research Products
(3 results)