2015 Fiscal Year Annual Research Report
社会主義政策下における牧畜社会の変容-内蒙古・オラド後旗の事例を通して
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15J01512
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
白 福英 総合研究大学院大学, 文化科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 内モンゴル / モンゴル民族 / 漢民族 / モンゴル牧畜民化 / アイデンティティ / エスニシティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年7月15から10月15日にかけての三ヶ月間の現地調査で主に三つの側面に重点を置き調査をした。 一点目、調査地であるMガチャー(村に相当する)における人口構成と彼らの出身地である。Mガチャーでは、オラド出身以外に内モンゴルの東部、オルドス出身のモンゴル族、遼寧省、河南省、甘粛省出身の漢民族が混住している。これによって差別が生まれている。 二点目、漢民族が牧畜に従事するようになった社会背景である。それは主に自然災害、政治運動、国際関係に起因する。また、オラド後旗における労働力の不足と当時の飼料基地の建設による技術員の招聘である。 三点目、オラド後旗における牧畜の実態である。これによって今までの内モンゴル研究において殆ど焦点が当てられることのなかった地域の研究に新しい資料を提供できると考える。また、牧畜を営む元農民出身者の放牧の様子および牧畜技術を観察しながら、一年の生活のサイクルについて聞き取りを行い、漢民族が牧畜を営む上で、モンゴル牧畜民の牧畜技術の何を習得し、何を漢民族らしさとして残しているかを明らかにすることに努めた。これを通して、彼らの帰属意識に牧畜に従事することがどのように関係していることが明らかになった。 これらの調査を通して、調査地の基本情報の把握および漢民族=農耕民、モンゴル民族=牧畜民という定型化したイメージの打破、常に少数者が多数者に影響され、同化されるという固定観念の打破につながったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今まで予備調査と文献調査を終えているが、当該年度において三ヶ月間の現地調査を行い、さらなる行政資料と第一資料の収集に努めた。内モンゴル研究において先行研究が少ないとされる漢民族のモンゴル牧畜民化してきた過程を地道に調査し、研究対象である牧畜に従事する漢民族の牧畜技術はモンゴル牧畜民のそれと異なるところが明らかになるなど、新たな発見につながる可能性のある成果を出しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は現地調査を二回に分けて行う。一回目の調査で得られたデータを論文ゼミで発表しそこで受けた批判や指摘を参考に二回目の調査を実施する。
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Research Products
(1 results)