2016 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア演劇学の構築:1920-30年代ロシア演劇におけるリアリズム概念の考察
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15J01589
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 愉 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ロシア演劇 / メイエルホリド / 演劇学 / ロシア芸術史研究所 / ロシア・アヴァンギャルド |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は2月21日から3月22日にかけておこなったモスクワ・サンクトペテルブルグ現地調査(ロシア国立文学芸術文書館、ロシア国立中央文学芸術文書館等)が本研究課題に関する活動の中心となった。ペテルブルグでは、国立中央文学芸術文書館に保管されている1920-30年代におけるレニングラード芸術史研究所の活動に関する資料を収集した。その中で、研究計画書にも記した芸術史研究所における授業計画、研究計画に関する資料、芸術史研究所内で行われた研究報告会の議事録等を発掘した。 また、付属のアカデミア出版の事業内容、出版計画に関する資料も合わせて渉猟した。アカデミア出版からは、ヨーロッパで出版された演劇関係の翻訳が継続的に行われるとともに、芸術史研究所の講義要綱、活動報告書などが出版されており、出版事業が芸術史研究所の活動における重要な手段の一つだったことが確認できた。 モスクワでは、ロシア国立文学芸術文書館において、芸術史研究所演劇学科で学科長のグヴォズジェフとともに中心的な立場にあった、モクリスキー関係の出版されていない資料を中心に閲覧した。残された手稿からは、彼が行っていた講義「演劇史入門」の内容や、「演劇事典」執筆計画など、芸術史研究所で働いていたモクリスキーの演劇観が窺い知れるものが数多く発掘できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は基本的に昨年モスクワで渉猟した「観客論争」関係の資料の読解を行っていたが、ロシア芸術史研究所における演劇学の創設の問題をめぐって、やはりペテルブルグのアーカイヴで芸術史研究所関連のアーカイヴを渉猟する必要があった。その目的は年度末の出張で達成されたが、これまで集めた資料に基づいて次年度は論文を執筆する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度前半は、これまで渉猟した資料を読み込み整理する。こうした資料から、「演劇学の創設」という新しいロシア演劇史の文脈を構築する。その上で、こうした文脈と、同時代の演劇実践、あるいは「社会主義リアリズム」を代表とする演劇に関する政治的文脈での言説らとを比較、相対化することで1920-30年代におけるロシア演劇史の美学的言説を論じ直すことを目的とした論文を執筆する。
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Research Products
(2 results)