2015 Fiscal Year Annual Research Report
災禍の儀礼の比較社会学:インドネシアと日本における津波災害を事例として
Project/Area Number |
15J01697
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福田 雄 東北大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | 災害 / 慰霊・追悼 / 記念行為 / 神義論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)インドネシアと日本の津波災害をめぐる儀礼を比較分析するための枠組みを精緻化する作業を行い、そのうえで(2)これまで行ってきた東北地方沿岸部の慰霊・追悼をめぐる調査を継続しつつ、インドネシア・アチェの津波をめぐる記念式典の調査を遂行した。 (1)については、複数の研究会において本研究計画にかんする報告を行い、その議論を踏まえたうえで、災禍のあとに行われる現代的な諸儀礼(「災禍の儀礼」)を考察対象とした先駆的研究(Post et al., 2003)の理論的可能性と限界を考察した。その結果、津波災害をめぐる儀礼行為や語りの一つ一つを詳細に記述し、比較・分析するという本研究計画の調査指針を改めて再定位するにいたった。 (2)にかんしてはまず東日本大震災の被災地である宮城県南三陸町を中心とした震災五年目における被災地域のフィールドワークを実施し、震災以前にさかのぼる民俗的諸実践との関連のなかで、東日本大震災の慰霊・追悼を理解することを試みた。 またスマトラ島沖地震をめぐるインドネシア・アチェの調査にかんしては、11周年の記念式典の参与観察、および主催者や参加者への聞き取り調査を行った。その結果、研究計画前年(平成26年12月)に行った10周年記念式典の予備調査では見えてこなかった、津波の想起にかかわる日常的な方法や語りのパターンが見出された。 以上を踏まえ、これらの調査研究によって得られたデータを整理し、比較分析する作業に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿った調査を行い、必要な資料やデータを得ることができた。これら収集されたデータの分析(すでに平成27年度末より着手している)を進める目処がたったという点で、3年計画の初年度時点における順調な進展であると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
収集した資料やデータの読解・分析作業を行いつつ、成果を発表していく。また必要に応じて適宜追加調査を行う。
|
Remarks |
発生から21年を迎え中止が相次ぐ阪神淡路大震災の慰霊祭について、それらを持続させるための課題と展望についてコメントした。「関東大震災90年、原爆投下70年 慰霊式典地域に根付く」『神戸新聞』2016年1月8日 朝刊27面
|
Research Products
(3 results)