2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J02325
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
SURIAJAYA ADE IRMA 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | ディリクレL関数 / 導関数 / 零点 / ゼータ関数 / L関数 / 平均値 / バーコフのエルゴード定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は今年度のはじめに、2014年からやってきた研究を続け、一般化されたリーマン予想の下での、q>1を法とする主指標でない原始的指標に付随するディリクレL関数の一階導関数の零点の個数及び実部の分布の評価を示しました。この研究は2012年に出版された、H. Akatsuka氏の論文に対するディリクレL関数への拡張となっています。この論文は投稿済みであり、refereeによるfirst reportに基づいて修正を行っています。 私は最近、Akatsuka氏との共同研究で、Yildirim氏が示した非零領域をk=1の場合に対して改良しました。また、この新しい非零領域を用い、Yildirim氏が示したディリクレL関数のk階導関数の零点の個数の評価式の誤差項をk=1の場合に対して改良しました。それ以外に、ディリクレL関数の一階導関数の零点の実部の分布及び一般化されたリーマン予想とディリクレL関数の一階導関数の零点の分布の同値条件を示しました。これらは、1974年に出版されたN. Levinson氏とH. L. Montgomery氏の論文のTheorem 10のk=1の場合と、1935年にSpeiserが示したリーマン予想の同値条件に対するディリクレL関数への拡張になっています。この論文は現在投稿順中です。 今年度、私は零点の分布の研究以外に、Lee氏との共同研究で、セルバーグクラスを含む大きな有理型関数の族、及びそれらの導関数に対して、Boolean変換を含むより一般なエルゴード変換による平均値も調べました。また、同じ論文で、Lindeloef予想とこのエルゴード変換による平均値の同値条件を示しました。これらは2012年にSteuding氏がBoolean変換を用いてリーマンゼータ関数に関して示した結果のその導関数を含む大きな有理型関数の族及びBoolean変換を含むより一般なエルゴード変換への一般化を与えます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年は、導関数の零点の研究において、リーマンゼータ関数からディリクレL関数への拡張に成功し、計画通りに進んだと考えられます。しかし、この研究においてディリクレL関数の一階導関数の零点の分布について結果を得られたが、高階導関数に関する研究に進んでいません。 その一方、一般化されたリーマン予想を仮定しない場合の評価を得ることができ、共同研究者のAkatsuka氏との議論のおかげで、ディリクレL関数の一階導関数に対し、先行研究の非零領域を大幅に改良が得られ、一般化されたリーマン予想の新たな同値条件も得られました。これにより、研究計画以上に研究が進んでいるとも考えられます。 それだけではなく、力学系を専攻しているLee氏との共同研究で、解析的整数論の分野の中に研究がとどまらず、エルゴード理論を用いた研究に進むことができました。この研究により、零点の分布の研究に欠かせない値分布の研究に進むことができ、リーマンゼータ関数とディリクレL関数に限らず、たくさんのゼータ関数とL関数の性質もより知ることができました。また、この研究において、Lindeloef予想の新たな同値条件を得ることができました。 以上で述べた研究成果により、研究が順調に進展していると考えられます。
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Strategy for Future Research Activity |
最近のプレプリントでF. Ge氏はAkatsuka氏が2012年の論文に得たリーマンゼータ関数の一階導関数の零点の個数に関する評価式における誤差項を改良しました。私はGe氏のこのアイデアを生かしながら、私とAkatsuka氏が得た新しい非零領域も用い、一般化されたリーマン予想の下でのディリクレL関数の一階導関数の零点に関する論文に対して修正を行っています。今年、こ研究のリーマンゼータ関数及びディリクレL関数の高階導関数への拡張を考えたいと思います。 私とLee氏が2015年度に示した定理はゼータ関数にとどまらない大きな有理型関数族を対象としているため、`ゼータ関数'や`L関数'でないようなほかの特殊な有理型関数への応用を考えています。また、応用できる特殊な有理型関数に対し、応募者とLeeが考えた平均値の意味を調べたいと考えます。また、Lindeloef予想のセルバーグクラスに対する類似を考え、私たちは考えた平均値との同値条件を考えたいです。 Steuding氏はリーマンゼータ関数に対して、Boolean変換による平均値のLindeloef予想の同値条件だけではなく、リーマン予想の同値条件を示した。私とLee氏が考えたエルゴード変換に対する同値条件を考え、この研究結果が得られた場合、セルバーグクラスへの拡張を考えたいと思います。
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Research Products
(10 results)