2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J02857
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 裕貴 九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 動物の群れ行動 / プランテーション管理 / 森林経営 / インドネシア / 数理モデル / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
さまざまの種類の動物で群れになって行動する様子を見ることができる。とくに魚や鳥については、コンピュータ・グラフィクスの分野から生まれたBoidsの規則や物理学で研究されたSPPモデルを元に、とても多くのモデル研究が行われてきた。申請者らは、個体が複数の行動プロセスを同時に採用し、それぞれの行動プロセスの相対的な強さによって、全体としての群れのふるまいがどのように変わるか、ということを表した。また、回転し続けるふるまいを見せるCircle型の群れの回転円の半径を得る公式を導き出し、その値が数値計算によるものとほぼ等しいことを示した。本研究は動物の行動の意思決定が群れをかたち作るメカニズムを解明するための手がかりになる。この研究成果は、英文ジャーナルに投稿し、掲載受理された。 続いて、熱帯林、とくにインドネシアの国有林におけるプランテーション管理についてモデリングを行った。世界におけるプランテーションの面積は年々増加しており、それは、植林によって得られる木が木材や燃料として国際・地域経済において重要な役割を果たしていることがひとつの理由である。申請者らは、最適な収穫タイミングを計算するため、経営者の経営判断をモデル化し、それによって利益を計算した。また、インドネシアではプランテーションにおいて労働の主な従事者となるコミュニティのメンバーが、プランテーションの土地を他の農作物栽培に使うことを認める経営方法が一般的である。さらに、コミュニティと政府がパートナーシップを結び、違法伐採などに対抗する政策による効果を議論するために、モデルを経営者、労働者にそれぞれ適用し、利益の違いを考察した。これらの研究は、プランテーション経営の場において、コミュニティと経営者のそれぞれの立場から適した経営方法を議論でき、よりよい管理をしていく方針を導きだせる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物の群れ行動の研究は、英文誌に掲載が決定した。また、インドネシアのプランテーション管理の場面は社会の合意形成過程を考察するために非常によい題材となる。これはインドネシアの森林へ視察に行ったことから着想を得た新しいモデルであり、さらなる進展が見込める。
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Strategy for Future Research Activity |
インドネシアのプランテーション管理についての数理的研究を進める。とくに経営者とコミュニティメンバーの関係性や政策、それがもたらす利益の違いが森林を取り巻く事柄や違法伐採などの問題にどのように関わっているか、そして、それらに対応していくための方策について、数理モデルにもとづいた議論をしていく。コミュニティとプランテーションの関係については、2016年6月または9月にインドネシアでの視察、調査を予定しており、また7月にはドイツの研究所において森林管理の研究者らと議論を行なう。そこで得られた成果を統合し、論文に取りまとめ国際誌に投稿する。
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Research Products
(4 results)