2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J02857
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 裕貴 九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | プランテーション / 熱帯林 / コミュニティ / 土地利用 / アグロフォレストリー / インドネシア / 違法伐採 |
Outline of Annual Research Achievements |
FAOの2014年の調査によると、世界の植林地は264万haで、それは全世界の森林量の6.6%だとされている。プランテーションは国際経済だけではなく、地域経済においても非常に重要な役割を持ち、具体的には木材や燃料として利用されることが多い。プランテーションでは、林業者は幼樹を植林し十分な大きさまで育て、その後、収穫し市場に出すことで利益を得る、という工程が繰り返されるのが一般的だ。木が十分な大きさに育つまでかかる時間は樹種によってさまざまであるが、通常ある程度長期間の年数が必要であり、それが林業経営の難しさの一つであると言える。このことから、プランテーションでは計画の段階で、どの伐期を採用するか、といったことを定めることは必須の課題であり、それはとくにコミュニティが持つような小規模なものではより重要性が高くなる。 また、インドネシアのジャワ島の例を挙げると、プランテーションは土地所有者である国営企業と、労働者であるコミュニティのメンバーによる協業によって成り立っている。東南アジアにおける木材需要が非常に高いことから、第三者による違法伐採の被害が大きくなっているが、労働者らによる監視やパトロールが違法伐採を抑制する効果を持つことが報告されている。 私たちは、最適伐採時期についてのモデルを立て、病気や火災などの物理的損失やコスト、割引率が伐採時期にどのような影響を及ぼすかを示した。また、モデルを土地所有者と労働者にそれぞれ適用し、違法伐採が起きた場合を想定し、それぞれの利益を計算することで、労働者が森林管理について十分なモチベーションを得られず、違法伐採を見過ごすなどの可能性がある時期が存在することを示した。そして、土地所有者による利益分配の割合と植林初期にかかる労働者への賃金の関係から、違法伐採を抑制する場合の条件を考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
熱帯林管理の数理モデル研究は解析はほぼ済んでいるが、論文としての取りまとめに予想以上に時間がかかってしまっている。この部分では少し遅れてはいるが、今年度は共同研究の計画作成や新たな解析が実行できたことなど、次年度を含めれば結果的には計画を超えた進展が見込めると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度早期に論文を取りまとめ、国際誌へ投稿する。 また、本研究のモデルや解析結果を実証や応用に結びつけるため、インドネシアジャワ島に滞在し、データ収集、シミュレーションへのフィードバックなどを通した共同研究を予定している。
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Research Products
(3 results)