2016 Fiscal Year Annual Research Report
経頭蓋交流電気刺激による運動野への可塑性の誘導:刺激周波数と位相依存性効果の検討
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15J03164
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中薗 寿人 九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 経頭蓋交流電気刺激 / 運動野 / 運動誘発電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次運動野(M1)に対して10 Hzと20 Hzの経頭蓋交流電気刺激(tACS)の刺激後効果(オフライン効果)について検討してきた。しかし、これまでの研究からその効果はあまり持続しないことが示唆された。このことから運動野に持続的な可塑性を誘導するためには、単純な刺激のみでなく反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)など他の非侵襲的な脳刺激法と組み合わせていくことも検討する必要がある。しかし、tACSでは刺激強度や刺激部位のでなく、周波数や位相など様々な刺激要因が存在し、その交互作用によってtACSの効果が変化すると考えられる。新たな刺激方法を開発するためには、tACSの刺激要因が刺激中効果(オンライン効果)にどのように影響するのかを評価する必要がある。そこで我々は、tACSの周波数と位相に注目し、そのオンライン効果について検討することとした。 M1に対して10 Hzと20 HzのtACSを行い、異なる位相の効果を運動誘電位(MEP)を用いて評価した。その結果、10 Hzと20 HzのtACSでは90°の位相特異的にMEPの振幅に差がみられた。この刺激位相の効果は、他の刺激周波数(5 Hzと40 Hz)では認められなかった。また、偽刺激との比較から20 Hz tACSの90°の位相では、M1の皮質興奮性を有意に増大することが示された。 以上から、M1に対するtACSは、刺激周波数と位相依存的にその効果が誘導され、オンラインの刺激を行う上では、これらを考慮する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度、M1に対するtACSの刺激後効果の持続性は短いことが示された。より効果的なtACSの刺激手法を開発するため、オンライン効果に注目し、tACSの刺激周波数と位相がオンライン効果に与える影響を検討した。 その結果、tACSのオンライン効果は、刺激周波数と位相依存的にM1の興奮性を調整することが示された。 この結果は、今後のtACSの発展につながる研究成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られたtACSのオンライン効果の結果をもとに、tACSの刺激周波数と位相を考慮した他の非侵襲的脳刺激法との組み合わせ刺激など新たな刺激手法の検討をしていきたい。 また、視覚野に対するtACSの効果も前年度確認しているため、視覚誘発電位と脳波を用いてtACSの効果機序の解明を行っていきたい。
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