2016 Fiscal Year Annual Research Report
タイにおける民主化と法の支配:体制変動期の司法の裁定に関する政治学的分析
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15J03801
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
外山 文子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 政治の司法化 / 立憲主義 / 民主主義 / 憲法裁判所 / 独立機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目も引き続き、タイのタムマサート大学政治学部に客員研究員として籍をもらいながら、日本とタイの間を頻繁に行き来して、調査およびアウトプットを行った。 前期は、中間時点までの調査結果についてアウトプットを行うことに重点を置いた。まず2016年4月には、タイのチェンマイ大学で開催されたタイ司法と民主化に関するセミナーにて、タイ語で発表を行った。次に、同年6月には、大阪大学で開催された東南アジア学会、京都産業大学で開催された日本比較政治学会で口頭発表を行った。7月には九州大学で開催された日本タイ学会にて、著名なタイ人研究者2名とパネルを組み、タイ語で発表を行った。また、これら学会発表と並行して、5月から11月にかけて、日本の一流企業の講演会にて、「タイ政治、憲法起草、司法」などについて、6回も解説を行った。加えて執筆活動も積極的に行い、査読付き論文としては、日本タイ学会の学会誌「年報 タイ研究」第16号に論文が掲載され、また日本比較政治学会の学会誌にも論文が採択されて、2017年6月に発行されるところである。この他に、査読なしの論文1本、ウェブサイトにコラムが2本掲載された。これら以外にも、マスメディアの記事へのコメントが掲載されるなど、学会のみならず一般社会に対してもアウトリーチが広がっているところである。 後期は、セミナーへの参加、憲法裁判事へのインタビュー、図書館でのタイ語新聞記事のチェック、憲法起草に関する議事録のチェックなどを行った。議事録のチェックや、判事へのインタビューでは新たな視座を獲得することができた。またタイの政府系シンクタンクの研究員と意見交換する機会があり、申請者が「政治の司法化」などについて頭に描くストーリーが、的を得たものであることを確信した。いずれの作業も非常に時間を取るものであったが、徐々に研究が組みあがっていく実感を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年に年が変わったあたりから、本格的に新たな単著の準備作業に入った。学振PD期間中の調査研究の結果は、現在査読修正中の博士論文を単著として出版するもの、そして新たに企画したもう1冊の単著、合計2冊の本の中に入る予定である。2冊の本の出版直前ということもあり、具体的な研究内容については本報告書に記載することができないが、1冊は2017年末に、もう1冊は2018年半ばごろに出版する予定である。また今年4月にはタイでの調査研究結果を受けて、新たに「汚職取締と民主化」というテーマで京都大学東南アジア地域研究研究所の共同利用共同研究に応募したが、採択されたと聞いた。こちらについては2,3年後の編著出版を目指しており、研究成果は広がりを見せ始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる今年度も、引き続きタイと日本を往復しながら、単著の調査執筆作業、学会発表(おそらく1回)を進めながら、次の新しいテーマに関する下調べも開始する予定である。
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Research Products
(7 results)