2015 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変動物を用いた哺乳類における受精時の卵活性化機構の解析
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15J03870
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野澤 香織 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 受精 / 卵活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、先進国では7組に1組ものカップルが不妊に悩まされており、社会問題にもなっている。近年注目されている不妊の原因として卵活性化不全が挙げられる。卵活性化とは、停止していた卵の細胞周期が受精後に再開することを言い、生命発生の始まりとなるステップである。受精時に精子が持ち込む活性化因子(SOAF)により、卵内でカルシウム濃度の反復性の上昇(カルシウムオシレーション)が起きるが、そこに関わる因子や詳細なメカニズムについては不明な点が多い。特にSOAFについては、いくつかの候補分子が挙げられているが、決定的な証拠は示されていない。 そこで本研究では、SOAFの候補分子を欠損する遺伝子改変マウスを作製し、精子の卵活性化能について検証を行うことで、SOAFの正体を明らかにする。さらに、機能ドメインの役割についても解析し、受精から細胞周期再開に至る卵活性化のメカニズム解明を目指す。 初年度は、遺伝子改変マウスの作製および妊孕性解析を中心に研究を進めた。 まず、受精における精子由来の卵活性化因子(Sperm-borne oocyte-activating factor: SOAF)の候補分子の遺伝子改変個体の作製に取り組み、計画通り複数系統の遺伝子改変マウスの樹立に成功した。 また、本研究課題を遂行するに当たり、有用な技術となる卵活性化メカニズムを対象とした低侵襲性ライブイメージングの実験系の確立に成功した(論文投稿準備中)。これを用いて、SOAF候補であったPAWPのノックアウトマウス精子の卵活性化能が野生型と差がないことを明らかにした(Satouh et al, Biol Reprod, 2015)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していたSOAF候補分子の遺伝子改変マウスの作製に成功し、妊孕性や生殖機能への影響を解析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も計画通りに進行していく。また、研究成果をまとめ論文投稿を目指す。
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Research Products
(2 results)