2015 Fiscal Year Annual Research Report
スコットランド常識学派のコモン・センスとカントのセンスス・コムニス
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15J04009
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
山口 遥子 東京藝術大学, 美術研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 美学 / 18世紀学 / カント / スコットランド哲学 / 文芸批評 / 常識 / 共通感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、カントが趣味判断成立の根拠とした共通感覚概念を、スコットランド常識学派のコモン・センス概念に即して捉え直すことによって、カント美学における「常識」概念の新たな位置づけを行うことである。「ブロンベルク論理学」やシュタルケの「メンシェンクンデ」といった前批判期の講義ノートなどから『判断力批判』に至るまでのテクストに即して、カント研究においてこれまで見過ごされてきた趣味と「常識」の関係を描き出し、またスコットランド常識学派、とりわけトマス・リードとアレクサンダージェラードの文芸批評理論とカント美学との思想的関連を見出すことで、これまで顧みられてこなかったカント美学の思想的環境を明らかにする点が、本研究の特色である。2015年度の研究の成果の一部は、2015年6月に開催された日本18世紀学会(東京大学駒場キャンパス)で発表したほか、2015年8月にオランダのロッテルダム・エラスムス大学で開催された国際18世紀学会(International Society for Eighteenth Century Studies)の「哲学と想像力」(Philosophy and Imagination)セッションで発表し、国外の専門家と意見交換し議論を深めることができた。これらの口頭発表とその後の研究の進展をまとめた成果は、『日本18世紀学会年報』(査読付き)第31号にて日本語で公表予定であるほか、日本18世紀学会HP上に掲載される『18世紀学会国際学会報告集』に英語論文として収録・公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は国際学会における発表一件、国内学会における発表一件を行ったほか、二本の論文を公表し、当初予定していたとおりの成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度には博士論文提出を予定しているため、今年度と次年度の研究成果は博士論文の形にまとめて公表する予定である。
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Research Products
(4 results)