2015 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病に対する脱フュージョンの有効性検討のための新しい行動指標の開発
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15J04336
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
茂本 由紀 同志社大学, 心理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 漢字迷路課題 / ACT / 脱フュージョン / 関係フレームづけ / 非柔軟性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,漢字迷路課題を抑うつに特化した課題へと改良し,ACT(Acceptance and Commitment Therapy)の中の脱フュージョンの効果測定の課題として妥当であるかをIRAP(Implicit Relational Assessment Procedure)と質問紙との比較を通して検討した。 まず,抑うつに特化した漢字迷路課題を開発するため,鈴木(1999)を参考に,抑うつ感情を喚起する63語の二字熟語を選定した。次に,選定した二字熟語を使用して,抑うつに特化した漢字迷路課題を開発した。さらに,この課題の妥当性を関係フレームづけと,非柔軟性の2つの側面から検討するため,IRAP,Cognitive Fusion Questionnaire(CFQ), Ruminative Response Scale(RRS), Beck Depression Inventory-II(BDI-II)と比較した。 関係フレームづけの側面から検討した結果,漢字迷路課題の反応時間とBDI-IIとの間に有意な負の相関が得られた(r = -.293, p <.05)。これより,反応時間は,関係フレームづけを反映した指標ではないが,抑うつの程度を反映した指標であることが示された。非柔軟性の側面から検討した結果,漢字迷路課題の非柔軟性得点とIRAPとの間に有意な負の相関が得られた(r = -.373, p <.05)。これより,漢字迷路課題で測定される非柔軟性とIRAPにおいて測定される非柔軟性は互いに逆の関係にある別の概念であることが明らかとなった。以上より,関係フレームづけと非柔軟性の両側面において,IRAPでは測定できない部分を漢字迷路課題にて測定可能であることが明らかとなった点において,本研究は重要な意義を有している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度における研究への取り組みは非常に良好であり,当初の計画通り,研究を遂行した。研究の成果については,国内学会及び国際学会において発表がなされており,学術雑誌へも投稿準備中である。以上より,本年度の研究は当初の計画に沿って,おおむね順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究では,抑うつに特化した漢字迷路課題が抑うつの程度の測定が可能であることと,IRAPで測定される非柔軟性とは異なる非柔軟性の測定が可能であることが明らかとなった。しかしながら,本年度の研究では,開発した漢字迷路課題が,脱フュージョンの効果測定が可能な課題であることは示されなかった。そのため,当初の研究目的に基づき,平成28年度の研究では,脱フュージョンの効果測定において重要とされる関係フレームづけの測定が可能となるよう漢字迷路課題を改良し,その妥当性を検討する。加えて,IRAPにおいて測定される非柔軟性と漢字迷路課題で測定される非柔軟性の違いを明らかにし,今まで明らかにされていなかった脱フュージョンと非柔軟性の関係性を明らかにする研究を実施する。以上より,漢字迷路課題において,脱フュージョンの効果測定課題としての妥当性を高める研究を実施するとともに,本年度の研究において示唆された脱フュージョンと非柔軟性の関係性について新たな知見を得るための研究を実施する。
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Research Products
(2 results)