2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J04608
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
渡邉 拓貴 神戸大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 超音波 / 行動認識 / ジェスチャ認識 / ウェアラブルコンピューティング / ライフログ / 音声ログ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ユーザの行動,周囲環境等のあらゆる状況(コンテキスト)を超音波化し音声情報で取得する,コンテキストの超音波化技術の確立を目的とする.研究課題達成のために三つのサブテーマを設定しており,平成27年度は主に二つのサブテーマに取り組んだ. 【A】アクティブ音響センシングを用いたジェスチャ認識手法:本サブテーマでは,人体に音響信号を伝播させ,その反応からジェスチャを認識する手法を提案する.提案手法では,従来の加速度センサ等を用いて認識できるような外部的なジェスチャのみならず,力の入れ具合のような人体内部の状態を含めたジェスチャを取得できる.提案手法実現のためのプロトタイプデバイスを実装した.デバイスは人体との音響インピーダンスの整合性のためにゲルに埋め込んだ.さらに,人の動きによるずれに対応できるようにサスペンション構造を取り入れた.提案手法を用いて評価を行った結果,10人の被験者,21種類の行動に対して,平均で91.6%の認識精度であった. 【B】実環境を想定した超音波通信:従来のシステムは,研究室環境で実験用のデバイスを用いて評価しており,実環境で考え得る問題を想定していなかった.本サブテーマでは,提案手法を実際のデモ発表イベントで商用のデバイス(スマートフォン)を用いて運用し明らかになった,スマートフォンの装着位置によって超音波IDの認識に影響が出る問題を解決する.スマートフォンから超音波IDの発信と録音を同時に行い,解析することで超音波信号の反応特性が得られる.デバイスの装着位置によって異なるこの特性を用いて装着位置を推定し,この結果によってID認識の処理を変える.改良手法を別のイベントで利用した結果,装着位置の認識率は84.7%であった.超音波IDの認識率は,従来手法で55.2%,改良手法で68.0%であり,提案手法の有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究課題達成のために三つのサブテーマ【A】【B】【C】を設定しており,昨年度はそのうちの二つのサブテーマ【A】アクティブ音響センシングを用いたジェスチャ認識手法と【B】実環境を想定した超音波通信に取り組んだ.両サブテーマとも,デバイスの作製とシステムの構築を完了し,評価実験を行った.また,この結果を取りまとめたものを,サブテーマ【A】については,2015年7月に開催された情報処理学会マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO 2015)において口頭発表を行っており,優秀プレゼンテーション賞を受賞した.また,2015年12月に開催されたユビキタスウェアラブルワークショップ2015(UWW 2015)においても口頭発表を行った.さらに2016年9月に開催されるThe 20th Internation Symposium on Wearable Computers (ISWC 2016)に投稿し,現在査読中である.サブテーマ【B】については,2015年11月に開催された12th International Conference in Computer Entertainment Technology (ACE 2015) (採択率22%)において口頭発表を行った.両テーマとも近日中に論文誌への投稿を予定している.
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題達成のために三つのサブテーマを設定しており,昨年度はそのうちの二つに取り組んだ.今後は,これら二つのサブテーマの発展と残り一つのサブテーマに取り組む予定である. 【A】アクティブ音響センシングを用いたジェスチャ認識手法:昨年度作製したアクティブ音響センシングのデバイスは,歩く,ジョギング,自転車等の衝撃の大きい行動の際に装着位置がずれて,得られる周波数特性が変化する問題が明らかになった.本年度はこのような人の動きによるずれに頑健なデバイスの構成と固定方法を考案し,実装する.さらに,日によって変化する周波数特性の原因がデバイスによるものなのか,人体内部の変化によるものなのかを明らかにし,これらを考慮した認識アルゴリズムを考案する. 【B】実環境を想定した超音波通信:昨年度は,超音波IDを用いた音声ログへの人物/場所情報の埋め込み手法を,実際のデモ発表イベントで用いて,録音デバイスの装着位置によって超音波IDの認識に影響が出る問題に取り組んできた.しかし,実イベントで得られた知見より,近くに超音波IDが複数存在した時にIDが重なって誤認識する,多数のデバイスの中から特定の受信側だけに情報を送信することができない等の問題が明らかになった.本年度はこれらの問題を解決する.また,超音波化した情報にノイズのような音声を混ぜるなどした,音声合成技術を用いたセキュアな通信プロトコルを実装することで,不正に取得された際に復元が出来ないような通信を確立する. 【C】超音波情報のための音声圧縮アルゴリズム作成:音声圧縮の方式や信号処理方法等を文献から調査し,既存の音声圧縮アルゴリズムを拡張した,全体の容量を圧縮しつつ超音波情報を取得できるデータ圧縮アルゴリズムを作成,実装する.実装したアルゴリズムを性能評価し,有効性を検証する.
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Research Products
(3 results)