2015 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌形成におけるHes1の機能解析と新規治療法の探索
Project/Area Number |
15J05143
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 義浩 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | Hes1 / 膵癌 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
1本研究では、膵癌形成におけるHes1の機能解析と、Hes1をターゲットとした新規治療法開発を目指す。 1. ヒト膵癌におけるHes1の機能解析 ヒト膵癌におけるHes1の発現に関しては、病変の段階(ADM, PanIN, PDAC)とHes1の発現の関係性の解析を免疫組織化学染色により行った。また、ヒト膵癌細胞株(MIA PaCa-2, BxPC3, Panc1)におけるHes1およびNotchシグナル構成因子の発現についてはRT-PCRにより検討するとともに、ヒト膵癌細胞株におけるHes1の機能解析を試みた。ヒト膵癌細胞株(Miapaca2、BxPC3、Panc1)に対して、CRISPR/Cas9システム、shRNA、Hes1阻害剤を用いることでin vitro, in vivoでの評価を行った。 2. マウス膵癌モデルにおけるHes1 の機能解析 申請者らは既に、成体膵特異的かつタモキシフェン誘導的にKRASおよびTP53遺伝子異常を導入可能なマウス膵癌モデルEla1-CreERT2;KrasG12D;TP53R172H マウスを作成している。タモキシフェン4 mgを皮下投与後、膵癌の形成・転移の有無を解析した。また同時に. マウス膵癌形成おけるHes1遺伝子ノックアウトEla1-CreERT2;KrasG12D;TP53R172H;Hes1f/f マウスを上記のマウス膵癌モデルと Hes1 flox マウスとの交配により作成し、癌の形成・転移の有無、異型度、増殖、浸潤などへの影響について、組織学的に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. ヒト膵癌におけるHes1の機能解析 ヒト膵癌手術検体、ヒト膵癌細胞株いずれにおいてもHes1の高発現を認め、膵発癌においての重要性が示唆された。現在ヒト膵癌細胞株(MIA PaCa-2、BxPC3、Panc1)に対して、CRISPR/Casシステム、shRNA、Hes1阻害剤を用いることでin vitro, in vivoでの評価を行い、Hes1の膵発癌における役割の解明を試みている段階である。shRNAに関しては現在条件検討中であるが、Hes1阻害剤に関しては、有意に細胞増殖を抑制することをMTS assayにより確認している。 2. マウス膵癌モデルにおけるHes1 の機能解析 マウス膵癌モデルEla1-CreERT2;KrasG12D;TP53R172Hにおいて高率に膵発癌を認めること、またHes1の発現を認めることを確認している。マウス膵癌形成おけるHes1遺伝子ノックアウトEla1-CreERT2;KrasG12D;TP53R172H;Hes1f/f したマウスを現在飼育しており、膵癌形成の評価を行っているところである。十分なn数は評価できていないが、Hes1 KOにより膵発癌率の低下する傾向を確認している。また、Hes1 WTマウスとKOマウスとのの表現型の差よりマウス膵癌におけるHes1の役割の解明を図っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ヒト膵癌におけるHes1の機能解析 引き続き、ヒト膵癌細胞株(MIA PaCa-2、BxPC3、Panc1)に対して、CRISPR/Casシステム、shRNA、Hes1阻害剤を用いることで、Hes1の膵発癌における役割の解明を試みる。必要に応じてmicroarrayなどにより、網羅的な解析も行う予定である。なおCRISPR/Casに関しては現時点ではヒト膵癌細胞株のHes1 KO株の作成が成功しておらず、Hes1 KOのphenotypeによる可能性もあると考えている。 2. マウス膵癌モデルにおけるHes1 の機能解析 引き続きマウス膵癌モデルにおいて、Hes1のWT, KO間で認める表現型の差を明らかにし、それよりHes1のマウス膵癌モデルにおける役割を解明する。 さらに、3. Hes1阻害剤を用いた新規治療法の探索を開始する。マウス膵癌モデルもしくはヒト膵癌細胞株をヌードマウスに皮下投与したXenograft modelに対してHes1阻害剤を投与する。膵癌形成の差の評価と合わせ、投与量による抗腫瘍効果の変化の検討や他臓器への影響の検討を行う。
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