2015 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック転写因子σ32の膜への輸送を介した新奇な機能制御機構
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15J05262
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮﨑 亮次 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 熱ショック転写因子σ32 / シグナル認識粒子 / 部位特異的in vivo光架橋実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、通常膜タンパク質の膜への輸送に働くSRP(シグナル認識粒子)が、予想外にも細胞質タンパク質σ32を膜へ輸送することで、その負の制御に働くことを示した。本年度は、特にσ32とSRPとの相互作用機構を部位特異的in vivo架橋実験を用いて詳細に解析した。 まず、負の制御に関わるσ32のN末端側部位の制御領域をターゲットとした解析を行い、既知の制御因子である分子シャペロンDnaK/DnaJに加えてSRP構成タンパク質のFfhがこの領域でσ32と結合することを見出した。このσ32とSRPの架橋は、負の制御が不全となるσ32の変異によって、その変異の強さに応じた影響を受けることから、SRPの相互作用がσ32の制御に重要であることが示唆された。更に、Ffh(SRP)がどのようにσ32を認識・相互作用するのかを調べるために、Ffhを標的としたin vivoでの光架橋実験やジスルフィド架橋実験を行った。その結果、予想外にも、通常疎水的なシグナルペプチドや膜貫通部位が結合するFfhの「基質結合部位」に、疎水性の低いσ32の制御領域が結合することを示し、Ffh(SRP)が同一の部位で全く異なる性質を持つ基質を認識・相互作用しうることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度のin vivo架橋実験を用いた研究で、シグナル認識粒子が熱ショック転写因子σ32の制御領域を認識・相互作用すること、そしてその相互作用がσ32の機能制御において重要であることを見出し、国際学術誌に成果を発表した。従って、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で計画した、翻訳途上σ32の相互作用についても予備的に結果を得ている。本年度は、その解析を継続して行い、また、in vivo架橋実験による解析でσ32の負の制御機構についての研究をさらに進めたいと考えている。
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Research Products
(3 results)