2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J05283
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小澤 良祐 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 時間知覚 / 空間認知 / 予測 / 認知心理 / 神経科学 / ポストディクション |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、往復効果がポストディクションによることの実証とその論文発表、および時間知覚と方向感覚の関係を明らかにすることを中心に取り組んだ。
1. 帰り道を短く感じる往復効果について、一般的に日常の中で経験されていることは知られていたが、本当に帰り道が短く感じられているのか、それとも連続した同じ時間の事象が短く感じられているのか明らかではなかった。そこで対照実験との比較を通じて、帰り道を確かに短く感じていること発見し、かつそれはポストディクティブに時間を評価するときにのみ見られる現象であることを示した。この成果は国際学術誌"PLOS ONE"に掲載された。さらに、往復効果を時間予測と時間知覚の誤差から説明するモデル『経過時間感覚モデル』を考案し、学会発表した。これにより、往復効果を時間知覚、時間予測それぞれのメカニズムと、それらの相互作用から考えていくことが可能になった。
2. 時間(順序)と空間を処理するメカニズムは同じであるというモデルが近年唱えられる一方、行動学的にこれらがどのように関係しているのか明らかになっていない。そこで、時間知覚と空間知覚の関係性を時間作成課題と方向感覚質問紙により検討した。その結果、方向感覚が良い人ほど時間を短く感じることが明らかになった。さらに、提示する刺激に歩行中の映像・映画・音楽の3種類を用い空間処理への負荷を変化させたが、刺激の種類に関係なく時間知覚と方向感覚の関係が維持されていた。これらにより、時間を処理する系と空間を処理する系は別であり、かつ情報処理のリソースを奪い合う、競合する関係にあることが示唆された。この成果は国際学会で発表受理され、また論文を現在執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果が国際雑誌に1本受理され、時間知覚と方向感覚に関する研究も分析が終わり国際雑誌への投稿準備中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
時間知覚と方向感覚に関する研究の論文を国際誌に投稿する。国際学会にて研究結果の発表を行う(7月の国際学会発表が受理済み)。今後の発展としては、時間と空間の処理が独立した系であることを示すため、MRIを使った機能的・構造的な分析を試みる。
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