2016 Fiscal Year Annual Research Report
紛争後地域における環境管理政策:平和の構築過程における関連性の検討
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15J05688
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮澤 尚里 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2019-03-31
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Keywords | 環境資源 / 平和構築 / 環境政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、紛争後の地域において、環境資源が効果的に管理されるための政策を提言することを目的とし研究活動を行ってきた。紛争の根源的原因ともなってきた環境資源は、紛争後の復興の成否に影響を与え、平和構築を目指すために重要であるからである。実際に、紛争後社会が抱える平和構築の課題において、適切な環境管理が重要であるという認識は、国際社会でも徐々に高まってきている。しかし、これまでの研究では、「紛争後地域でどのような環境政策が有効であるのか」、という問いに対する、実証に裏付けられた環境政策モデルが無い。本研究では、紛争後の地域や国において「いかなる政策のもとで環境資源が有効に管理されるか」という「メカニズム」を過去の事例から検証してきた。 今年度の研究内容として、具体的な事例を分析するため、東ティモールにおいてフィールド調査を行った。独立以降、慣習法が緩やかな復興を始め、2006年4月の危機をきっかけに慣習法の復興に拍車がかかったことがわかった。2006年までに慣習法を実施し始めた地域においては、2006年4月の危機の際にも、地域の安定が保たれた傾向があることがわかった。住民の多くが資源管理に依存した生活をしており、資源管理のためには住民同士の協力を必要とするため、その規則作り等により地域の結束が高まってきている。つまり、村落コミュニティにおける資源管理のための協力体制が、紛争により分裂されたコミュニティメンバー間の話合いや共同作業の実施など、重要な機会を提供していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
東ティモールのフィールド調査では、政府や大学、村落コミュニティを訪問し、研究に重要な示唆を与える事例を調査することができ、貴重な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールド調査で得られた知見とこれまでの文献調査などによる分析を照合し、紛争後の地域や国において、環境資源が効果的に管理されるための政策に関する提言をまとめる。
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Research Products
(3 results)