2015 Fiscal Year Annual Research Report
微小変位領域での非線形摩擦特性を考慮した転がり案内の減衰機構の解明と定量的予測
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15J06292
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
酒井 康徳 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 転がり案内 / 機械要素 / 減衰 / 工作機械 / 周波数応答 / 非線形摩擦 / 弾性接触 / 非線形振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,転がり案内の周波数応答に及ぼす摩擦の影響を実験的,理論的に解明した.具体的には,転がり案内を送り方向へ加振し,その時の周波数応答関数を測定する.そこには,摩擦剛性に起因する共振と,接触部剛性に起因する共振とが発生する.そこで,これら共振ピークにおけるモード減衰比を評価することにより,摩擦が周波数応答に及ぼす影響を明らかにした.その結果,転がり案内に印加される力が小さい領域では,摩擦剛性・減衰によって,力の増大に伴って減衰比が大きくなった.また,印加される力が大きい領域では摩擦剛性に起因する共振は消失し,接触部剛性に起因する共振のモード減衰比は力の増大に伴って増大することが明らかとなった.さらに,複素ばねを用いて摩擦剛性・減衰を数学モデル化して解析を行ったところ,理論と実験とがよく一致する結果を得た. 本成果は,摩擦によって転がり案内の周波数応答が複雑に変化することや,異なる減衰機構が複合することを実験により示した,転がり案内の動特性研究において重要なものである.また,今後,定量的に転がり案内の周波数応答を予測するうえで,実験的に摩擦剛性・減衰の影響を検討し,それを理論的にモデル化したことは,本研究を産業応用する上で非常に意義のあることである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初通りの計画に沿って,研究を遂行しており,兼ね計画通りに成果を上げている.また,学会発表も国内・国外において行っており,成果を広く世の中へ公開することもできた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに,転がり案内の摩擦が転がり案内の周波数応答に及ぼす影響を実験的,理論的に明らかにしてきた.しかし,これらの成果はほとんどが無潤滑状態において得られたものである.より,実用的な研究とするためには,潤滑剤の影響を検討する必要がある. そこで,今後は潤滑剤を塗布した状態で実験及び理論解析を行い,潤滑剤の種類や性状の差異が転がり案内の周波数応答に及ぼす影響を明らかにする.また,理論計算においては,潤滑剤をどのようにモデルに組み込むべきかについて実験データをもとにして検討する. 最終的に,摩擦特性と動特性との関係を解明し,潤滑条件下での定量的な減衰特性及び周波数応答の予測を達成する.
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Research Products
(9 results)