2015 Fiscal Year Annual Research Report
中国の都市高温化緩和を目的とした都市環境気候地図のあり方に関する研究
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15J06553
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松尾 薫 広島大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 都市環境気候地図 / 気温分布 / WRF / 都市ヒートアイランド / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下に示す内容を実施し、都市環境気候地図(クリマアトラス)作成方法を確立した。 ①都市環境気候地図(クリマアトラス)に関する既往研究の整理:都市環境気候地図に関する既往研究の整理を行い、今後作成されるべき都市環境気候地図の条件を3つ示した。Ⅰ.都市環境気候地図には大きく3つのタイプ(タイプA、タイプB、タイプC)があり、都市内の気候は、その場所の地表面の状況と周囲の状況(風の吹き方)の影響を受け成立しているため、タイプBとタイプCの複合型のクリマアトラスが望ましい。Ⅱ.タイプCでは数値シミュレーションの利用が有効と考えられるが、社会的にシミュレーション技術に対する信頼度が絶対的でないことをふまえると、都市環境気候地図は気温観測データをもとに作成し、その根拠としてメカニズムを示すために数値シミュレーション結果を併用することが望ましい。Ⅲ.都市環境気候地図では各ゾーンにおける都市高温化対策に関する計画時の配慮事項、活用可能な気候資源等を示す必要があるため、高温化する場所それぞれの高温化要因を把握することが望ましい。 ②気温観測データを用いた都市内の気温分布形成要因の総合的評価:各気温分布形成要因を説明変数、気温観測データを目的変数とした重回帰分析を行い、これらの要因の影響度合いを総合的に評価した。 ③メソ気象モデルWRFを用いた対象都市の夏季気候の再現数値シミュレーション、および気候の現況分析:再現数値シミュレーションには、メソ気象モデルWRF version 3.2.1 ARWを用いた。次に数値計算結果を用いて昼間の気温分布の主要形成要因の1つである海風方向海岸距離が気温分布に影響を及ぼすメカニズムを明らかにした。 ④都市環境気候地図の作成:②、③の結果をもとに、昼間・夜間別に地域区分を行い、その地域区分結果をもとに都市環境気候地図を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に示した本年度の目的である都市環境気候地図(国内版)の作成を行ったが、一部行っていない調査があるため、「(2)おおむね順調に進展している。」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
主に、27年度の成果をベースに、中国の都市における都市環境気候地図の作成を行う。なお手順は以下のとおりとする。 ①数値シミュレーション(WRF)の入力境界条件である、土地利用/土地被覆データ等の収集・作成を行う。②①で収集・作成した入力境界条件を用いて、WRFによる夏季の気候の再現シミュレーションを行う。③対象地の気象観測所の観測データ等を入手し、それらを用いて②の結果の精度検証を行う。④現状の再現数値シミュレーション結果より、対象都市の気候の現況分析を行い、気候分析地図を作成する。⑤④の分析結果にもとづき、対象都市内のゾーニングを行った後、各ゾーンに対する具体的な指針、配慮事項を検討し、その後それらを地図にまとめた計画指針地図を作成する。⑥現地の都市計画関係者に対するヒアリング調査を行う。⑦国内外の学会やその論文集等を通じて⑥までの成果の公表を行う。⑧⑥と⑦の意見等を反映させた中国版都市環境気候地図を作成する。
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Research Products
(9 results)